【さんすう雑学】魔法みたいな魔方陣④ -in中学入試(応用技)-
たても,横も,ななめも,一列の合計が等しくなる魔方陣。
①,②ではお手軽な作り方,③では中学入試での出題例,および基本となる解き方について扱いました。
今回は,知っていると楽に解ける,お得な2つの性質について,見てまいります。
3×3魔方陣の性質 -その1-
言葉だけだとイメージがわきにくいですね,実際にやってみましょう。
3×3魔方陣の性質 -その2-
さらにイメージがわき辛いですね…やはり,実際にやってみましょう。
まずは上のすみっこたちを。
もちろん,下のすみっこでも成り立ちます。
この "性質-その2-" は,使えると便利な場面が多い印象です。
例えば,前回扱った久留米大学附設中学 の 2018年度入試で出題された魔方陣でこの性質を活用してみましょう。
右上すみっこが6と判明していて,反対すみっこの両隣がXと2ですね。
ということは…!
前回の手間は何だったのか,というお手軽さで,X=10と求めることができました。
この性質が大活躍してくれる問題は他にもたくさんありまして。
慶應義塾中等部 の 2022年度入試で出題された次のような魔方陣も,その一例です。
in入試問題 -慶應義塾中等部(2022)-
先ほども使用した"性質-その2-"で,埋められるところを埋めていきましょう。まず左下!
さらに,下の辺の真ん中の数も,同じく"性質-その2-"で次のように求めることができます。
あとは,まだ活躍の場がなかった”性質-その1-”の出番です。
真ん中の数は,それをはさんでいる2つの数の平均!なので…
真ん中の数を求めて残りのマスを埋めていっても良いですし,
手っ取り早くAを求めるなら
76+52=40+A ⇒ A=88 とやっちゃっても良いかも。
まともに解くと結構大変な問題ですが,性質を活用すればだいぶ試験時間を節約できますね。
この2つの性質,なんで成り立つの?
事実さえ分かっていればとりあえず問題は解けますが,やはり理由は気になりますね。ちょっとばかり,証明というやつをやってみましょう。
まずは,真ん中の数を求めることができる"性質-その1-"から。
この証明には、魔方陣が魔方陣たるゆえんの,「1列の和が等しい」というステキ事実を使い倒せばオッケーです。
下の図のように,3列ぶんの和に注目します。
左の方は,AからJまで1回ずつたして3列ぶんの和を作っています。
それに対し右の方は,ななめ1列を2回使っているせいで,BとI
が外れていますね。代わりに真ん中のEが酷使されています…
式に表してみましょう。
A+B+C+D+E+F+H+I+J=A+C+D+E+E+E+F+H+J
同じ記号がたくさん!さっくり消えて頂きましょう。A+B+C+D+E+F+H+I+J=A+C+D+E+E+E+F+H+J
ずいぶんすっきりしました!
B+I=E+E
というわけで,B+Iを2で割ればEになることが示されました!
また、すみっこを求める"性質-その2-"も,同じ手順で理由を示すことができます。
3列の作り方を,先ほどからほんの少しいじってみると…!
今度は,すみっこのCが酷使されていますね…
式に表してみましょう。
A+B+C+D+E+F+H+I+J=A+B+C+C+C+E+F+H+J
またまた同じ記号がたくさんですね!もちろん,さっくり消えて頂きます。A+B+C+D+E+F+H+I+J=A+B+C+C+C+E+F+H+Jすっきりさっぱり。ラストも同じ流れです。
D+I=C+C
というわけで,D+Iを2で割ればCになることが示されます。
理由も含めて理解しておくと、しっかり頭に残りやすいですねー。
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