SDGsを、その背景・周辺知識から解説「2030年の世界地図」
SDGsは17の目標があり非常に幅広いが、本書の主なテーマと感じた
「テクノロジーによる解決」
「環境問題へのアプローチ」
の2点に絞って振り返る。
図解しながら数字を混ぜつつ分かりやすく解説しているので非常に読みやすい。
■テクノロジーによる解決
「破壊的テクノロジー」と表現していた4つのテクノロジーにより、様々な問題の解決が望める。「AI」「5G」「量子コンピュータ」「ブロックチェーン」。テクノロジー×農業、テクノロジー×労働、テクノロジー×都市など、テクノロジーによるイノベーションがSDGsの達成に寄与する可能性を示唆している。
■環境問題へのアプローチ
・国家の戦略
京都議定書からCOP・パリ協定が出来たが、アメリカが脱退しようとしている現状。
国ごとに環境問題へのアプローチは異なり、
欧州は「需要側の規制・倫理」によりGHG(温室効果ガス)を減らそうとし、
アメリカは「供給方法にイノベーションを起こす」ことでGHGの削減を図っている。
SDGsは欧州側の論理が強いので、アメリカは反発しているように映るが、何も考えていないわけではないのかもしれない。
中国は2010年代より環境配慮が始まり、現在は全人代でもテーマとして扱われたり、太陽光発電パネルの世界シェアを圧倒していたりと、中央集権だからこそのスピード感を持って取り組もうとしている。
経済力では既に影響力が弱い欧州がSDGsにおいてはイニシアチブを取れていることに違和感があるが、【ブランド力によるエンパワーメント】と表現されている、お上の立場をまだ持てているのはその歴史の重さにあるのだろうか。
・民間企業のアプローチ
エネルギー分野での再生可能資源への切り替えが進んでいることは言わずもがなだが、GAFAMなどのIT企業でも環境への配慮は進んでいる。IT巨人の多くは西海岸などで花開いており、元より西海岸ではディープエコロジー・バイオリージョナリズムなど地球をひとつの生命体として捉えて配慮する気概があるため、親和性が高いのかもしれない。
★まとめ・考察
所有を是とした資本主義から、シェアを是とする共産主義へ移行しているのかもしれない。
テクノロジーの発達により、サービスの享受は所有からシェアへシフトしてきている。シェアとは「誰かと何かを共有すること」であり、そこには常に「誰か」という他者が存在する。
ソ連などの共産主義が失敗したのは、シェアを国単位で、国が主導したため、権力の腐敗・民間の怠惰を招いたが、現代のシェア思想は民間サービスの発達により自然と醸成された、国の枠組みの外・地球単位で語られるものになりつつあると思う。
「地球の誰かと何かをシェアする」。
それを国に押し付けられるのではなく、民間人が自然と考えるようになれば、戦争もなくなるかもしれないし、
地球という資源を、奪い合いではなく、シェアしていかなくてはいけないと当たり前のように捉えていければ、環境問題も解決に進むのかもしれない。
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