Chat GPTで詩を書いてみた
昨今なにかと話題のChatGPTで詩を書いてみました。色々と注文をつけてどんな作品が出力されるか試してみたのでここに報告したいと思います。
チャットのはじまり
ChatGPTサイトにアクセス
本家サイトは https://openai-chatgpt.jp/ です。
ページを読めば分かりますが、ChatGPTとは何か、どうやって使うか、何が出来るかを説明する内容になっています。無料プランと月額20ドルの有料プランがあり、当然の事ながら有料プランは多機能で高精度になっています。が、どれだけ使いこなせるのかわからないので筆者は無料プランで利用しています。興味のある方は「ChatGPT 始め方」リンクをたどって登録してみてください。
さて、登録が終わると以下のような画面からチャットを開始する事が出来ます。
チャットのはじめ方
この画面の右側の下部、「Send a message」と表示されている領域にテキストを入力してEnterを押す、やる事はこれだけです。
詩を書いてもらう
では、実際に詩を書いてもらう事にしましょう。
はじめてのメッセージ送信と返事
記念すべき初チャットの送受信は以下の様に表示されました。
ページの最後には「Regenerate response」ボタンが表示されています。これをクリックすると別な詩を作ってくれます。結構「らしい」ものが出来たと思うのですが、私にとってはいささか長い! ちょっと読むのに疲れます。そこでリクエストを変えてみます。
短詩をリクエスト
作り慣れている4行詩を指定してみました。以下がその結果です。
テーマを決める
今度はいきなり細かめな設定をしてみました。
「Regenerate response」ボタンをクリックしてみました。
別な4行詩が表示されましたが 左の欄外に「< 2/2」と表示されています。少々わかり難いのですが、< をクリックすると「1/2」、即ち先程作った最初の詩を表示する事が出来ます。こうして出来栄えを比べて下の「Was this response better or worse?」の問いに答える事が出来ます。選べる答えは3つ、「Better」「Worse」「Same」です。「☓」をクリックして閉じてしまっても構いません。
外国語の詩
外国語の詩を書く事も出来ます。単純に考えればドイツ語で「Schreiben Sie ...」と書けば答えてくれそうですが、実際はもっと簡単で、日本語で「・・・・の詩をドイツ語で書いてください」と入力すれば通じます。こんな感じです。
定型詩
まずは筆者の定番、絶句
わかりやすいという事で七言絶句を作ってみました。「七言絶句」そのままで通じるようです。
はい、確かに七言ではあるのですが。平仄が合ってなかったり、韵の踏み方が一部違っていたり、同じ文字が複数回使われていたり、詩語の使い方が間違っていたりするので七言絶句としての完成度は残念ながらとても低いと言わざるを得ません。ただ、これを元にちゃんとした七絶に仕上げていく、と考えれば推敲用のネタ作りとしてはアリかもしれません。
続いてもうひとつ。英語版です。
「七絶」と書いてますが、これには理由があります。日本語で「七言絶句」と書くと、なぜか7音節でない行が混じったりそもそも起承転結の行が揃ってなかったりする事があるのです。「七絶」と書くか英語で「JueJu」と書く方がちゃんとした形になりやすいようです。
細かく見ると、本来起句承句結句で押韵すべきところ、起句+承句と転句+結句のお押韵になってたりするなど、絶句としてはどうかと思うのですが、そこは跡で調整すれば、雛形としては使えると考えて良いのかと思ったりしてます。
トリオレット
筆者にも実作経験がある定型としては、トリオレットが挙げられます。
トリオレットは繰り返しを多用する定型のひとつです。作る行が少なくて済むので楽そうですが、まとまった文脈を維持しながら構成するのは結構大変です。
トリオレットに関しては日本語でお願いしても英語でお願いしても余り変わらない感じでした。
ルバーイイ
古代ペルシャの4行詩として知られています。脚韻方式は七言絶句と同じです。
次に英語も試してみたのですが、どうやっても複数形であるルバイヤートになってしまいました。
ルバーイイの綴を変えて試してみましたがルバイヤートの扱いになってしまいました。このあとドイツ語や日本語や中国語でも試してみましたがいずれもルバイヤートになってしまいました。また、日本語と中国語では脚韻すら踏めませんでした。ま、ルバイヤートになってもそのうちひとつをルバーイイの元ネタとして採用するか、圧縮してひとつのルバーイイとして完成させれば良いだけのことです。
ソネット
14行詩として有名なソネットです。まずは日本語から。
ご覧のように16行、4つのスタンザになってしまっています。
「そうだ、英語でお願いしてみよう」と思いつき、やってみたのが次の結果です。
先頭に1行挨拶が入りますが、その下は14行のシェークスピア形式ソネットらしき内容にまとまっています。脚韵については偶然踏んでいる様に見える処もありますが、考えるだけ無粋というものでしょう。
Sijo
Sijo(しじょ)というのは朝鮮半島に伝わる3行詩の事で、戦前の日本でも「時調」として研究書が出版され、世の中にm知られたものでした。時調とは、「次節歌調」のことで流行歌というほどの意味で、日本の今様とちょっと似ていますね。これの英語版が20世紀終盤に米国で作られる様になって今日に至っています。ChatGPTに尋ねてみると「知ってるよ」という答えが返ってきました。
「じゃあ、作ってみてくれる?」 という分けで得た出力がこちら。
これには「note」として注意書きがついています。
Sijo(時調)について興味を持たれた方はWikipedia英語版などを御覧ください(日本語版解説はしょぼいです)。
旋頭歌
次は旋頭歌です。短歌や俳句よりはマイナーなので先ず旋頭歌という単語が理解出来るかどうかを確かめました。
「なんだ、知らないのか」と思ってちょっと述べてみました。
最初「知らない」と言い、答えを言うと「ああ、それ、知ってる」と話を合わせてくるヤツ。ちょっとイラッとしました。
知ってるなら作ってみろ、という事で、ふりがなつきでリクエストしました。旋頭歌は片歌(かたうた)と呼ばれる五七七の句を2つ組み合わせて一首とします。この出力例は五七七になっていません。事例として三首作ってくれました。
う~ん、これなら自分で作った方がましかな、と思いつつ、行きつけの英語詩投稿サイトにも詩型の中にSedokaがあった事を思い出し、英語版も一首作ってもらいました。
本人ノリノリで「よろこんで!」とのご返事。いかにも嬉々として作ってくれたご様子。英語だと三行ずつが片歌になります。先述した通り形式的には片歌ではありません。それどころか何回かやってると、五七五&五七五になってたりしました。こういったあたりはやっぱり英語圏の産物なのかなぁと思いました。
ともあれ旋頭歌っぽいものが作れるのも確認したし、結果へのフォローを入れれば今後の作詩活動に色々と使えそうな目処もついたのでここで更に一歩進んでみることにしました。
俳諧の連歌
まずは知ってるかどうか確認。
では、早速サンプルを作ってもらいましょう。
私の知る連歌は複数の詩人が五七五を詠む人と、七七句を詠む人にわかれて、歌をつなぎ合わせていく言葉遊びのようなもので、上記の事例では詩人A、Cが五七五句を、B、Dが七七句を付ける人にみたてて。連歌を気取ったようですが、いかにも適当で様式美が感じられません。
では英語ではどうでしょうか。海外では子供向けの連歌入門書がある位なので、連歌そのものは日本におけるよりもポピュラーかと思いますが、試しに作らせてみました。
他にも何回か試したのですが、音節数は多少上下しつつもすべての句で概ね五七五を基準にしている様に見えました。つまり、いわゆる下の句、七七の句に相当する部分がありません。連歌というより連発句とでも言えそうです。
このように、知識として知っていても、実際に作ると別な物になってしまうのは、それだけこのAIがまだ発展途上な物である事を示しています。まあ、筆者視点で言えば、日本語の押韵定型詩作成能力に関してはからっきしで、まだまだ完成度が低いという事ですが、気長に成長を見守っていく事にしてひとまずこの探索を終わろう思います。