メンチカツ・デ・イガモタレール
マーク・ウェインズさんの食べ歩きYoutubeチャンネルを気に入ってよく観ている。「フルタイムイーター(フルタイムで食べる人)」という聞いたこともない羨ましい職種のマークさんは世界を旅しながら名物を食べ歩くYoutuberだ。
マークさんがアメリカの肉もりもりフードを食べてる動画を観ているだけでお腹が空いてくる。昨日観た動画では持ってるだけでボトボトドボドボ落ちるくらい肉とソースが盛られたサンドイッチにかぶりついてた。
あれだけたくさん食べても胃もたれしないのが羨ましい。痩せてるし。私もフルタイムイーターになりたい。いくら食べても胃もたれせず太りもしない体になりたい。
私を含め、おっさんの体(というか胃)というのは30歳を超えてから年を経るごとにどんどん弱っていくようだ。脂っこいものを食べるとすぐ胃もたれするし、生姜とネギをいつもよりちょっと多めに食べただけで胃が荒れて消化不良になる。
テレビのグルメ紹介を見ていて「美味しそう!食べたい!」と思った直後に「でももたれそう...」と諦める悲しさといったらない。料理やメニューをじっと見つめて動かないおっさんを見かけたら、食べたい気持ちはあるのに食べられない、好きなのに行動を起こせない、そんな悲劇のヒロインのような気持ちで葛藤しているのだと優しい気持ちで目をそらしてもらいたい。書いててかわいそうになってきた。
おっさんはそのときただ食べたいものを選んでいるわけではない。「このメンチカツは胃もたれせずに食べ切れるか?ギリ無理か?前食べたときもたれたっけ?」と過去の経験、食後の予定も考えて自分の胃と相談しながら真剣に選んでいる。
私も昨日夕食にメンチカツを食べた。
メンチカツのパンチ力というはなかなか見極めが難しい。メンチカツはひき肉に衣をつけて揚げるというハンバーグの上位互換のような至高の食べ物であり大好物なのだけど、油で揚げているので当然油っこい。
その油っこさは胃もたれラインのちょっとだけ上にくるくらいの絶妙な位置にあり、ちょっとした作り方のちがいで胃にもたれたりもたれなかったりする。いやラインを超えているので基本もたれるのだけど、10回中2回くらいはうまく消化されてサクサクっと気分良く食べ終えることができる。
我が家ではメンチカツは家で作るものではなく、スーパーの惣菜コーナーや肉屋で出来上がったものを買ってきて食べるものと決まっている。衣が厚かったり薄かったり具材が肉だけだったり野菜が入ってたり、同じメンチカツでも結構いろんな種類が売っている。
見た目的に一番美味しそうなのはふっくら団子型の形をしていて中はひき肉びっしり、押すと肉汁が溢れ出すようなゲンコツタイプのメンチカツだと思う。見た目通りとてもおいしいのだけど、こいつは胃もたれラインを大幅に超えておりほぼ100%胃もたれする。
油と肉汁で親の仇みたいに胃を攻撃してくるので、このタイプを食べるときは最初から胃もたれで苦しむ覚悟で挑む。おいしさの代償だから仕方ない。それだけ覚悟を持って挑んでも1個が限界だ。1個目を食べ終わる前にもたれ始めるので2個目に手が出ない。マークさん並の胃腸があれば5個くらい食べるのに。
昨日の夕食で出てきたメンチカツはそんな覚悟も必要なく、キャベツ入りで食感もサクサク軽くていくらでも食べられそうだった。
ところが不思議なものでそんな軽いタイプのメンチカツでも「まだいけるまだいける」と食べ進めるうちに気がついたら胃がずっしり重くなっている。いくら口当たりが軽くても2個も3個も食べたらもたれるらしい。結果こうして書いている今もとても胃が重い。
胃は重いけど、メンチカツはやっぱりおいしかった。
胃がもたれようがもたれまいが美味しさは変わらないのだから、そういうものだと、メンチカツを食べたら胃がもたれるものだと受け入れて食べればいいだけの話なのかもしれない。
案外マーク・ウェインズさんだって毎回「胃が重いな...」と思いながら頑張って肉もりもりサンドイッチにかぶりついてるのかもしれないし。私もそんな気持ちでこれからも油物に挑んでいきたい。
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