4 生体腎移植ドナーを経験して(4) 心療内科受診
仕事復帰後1か月を経過して、心のバランスが崩れた。
心療内科を受診。
「レクサプロ」という抗うつ薬を処方された。
結論。
さっさと受診して良かった。
現在はメンタルも持ち直している。
レシピエント(娘)に自分の状態を言えないのがキツかった。
「あなたに腎臓を提供して、鬱になりました」
そんなこと、言えるはずもなく。
最も状態が悪かった時期に、娘の娘(つまり孫)の誕生日があった。
すっかり忘れていた。
そのことで娘にこっぴどく怒られた。
しょぼん。
うつになると、いろんなことの判断力や、そもそもの気力が落ちる。
底の状態だった自分は、指摘されたことでますます落ちていった。
お腹の手術痕は、服を着ている限りわからない。
見た感じ普通なので、職場ではだんだん仕事が増えていた。
そりゃそうだ。
職場の同僚もいっぱいいっぱい。
もうこりゃダメだ。
教頭と校長に直訴した。
「どうにも体調がアカンのです。『術後うつ』っていうらしいんですが、メンタルしんどくって。申し訳ないんですけど、今は授業だけで精一杯です」
その日から、時間休をあえて取るようにした。
職員室の中央ホワイトボードには、自分は1時間早く帰ることが毎日書かれた。
教員の仕事は、イレギュラーなことが多い。
早く帰れる日など、ほとんど無かった。
しかし周知される力は大きかった。
「先生、お身体だいじょうぶですか?」
「無理しないでくださいね」
声をかけられることが増えた。
自分自身も少し気が楽になった。
「どうも調子が良くなくて」
サラッと言えるようになった。
教訓
「助けて」と自分から言うのは超大切。
(つづく)
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