【医師が解説】モイスチャライザーとエモリエント|スキンケア No.3
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モイスチャライザーとエモリエントという言葉は、聞いたことがあるでしょうか?
前回記事でお話しした『保湿』
これを行うための俗にいう「保湿剤」の種類を表しています。
モイスチャライザーとエモリエント、なんとなく前者の方が強者感があります。
それぞれにはそれぞれの役割があり、どちらか一方というよりは、可能であれば併用するほうが保湿効果は高まります。
前回記事では、保湿作用が実際に働く場所についてお話ししましたが、覚えていますでしょうか。
そう、角質でしたね。
モイスチャライザーはこの角質に「直接」水分を与えてくれます。つまりヒーラー役。ドラクエで言ったら僧侶みたいなもんです。
そしてエモリエントは角質に対して「間接的に」水分を与えてくれます。役割としてはパーティ全員の体力役を変わってくれるタンクみたいなもの。ドラクエで言ったらグレイグです。パラディンでも〇
ドラクエについて理解できましたら、さっそく本題に入っていきましょう。
モイスチャライザー
直接角層に潤いをもたらす役割を持つモイスチャライザー。角層内にある細胞間脂質などに対して水分を与えます。
「ん?脂質?水と油は互いにはじくはずだろう。お前さては頭悪いな!?」
と多くの読者の方は私に嫌悪感を抱くと思います。
ちょっとお待ちいただければ幸いです。
脂質と言っても、この角層間にある細胞間脂質の50%はセラミドと呼ばれる脂質です。残りの脂質の50%のうち25%はコレステロールと言われます。
セラミドはスフィンゴ脂質の一種です。スフィンゴ脂質はスフィンゴイドに脂肪酸がアミド結合したものです。
ここまで言うとちょっと訳わからなくなってきますよね。
大丈夫です、私もわかりません。
要点は、「セラミドは脂質に含まれているけど水とくっつくことのできる脂質」だという事です。
疎水基と親水基を持つことに由来し、ラミラ構造を作って保水力を生み出してくれます。かつ強固な表皮バリア機能にも一役買ってくれる、大変仕事ものな脂質なんです。
ラミラ構造はググれば出てきますが、親水基は親水基とくっつき、疎水基は疎水基どうしで結合することによる構造の事です。
ヒトの細胞のリン脂質も同様に両親媒性であり細胞膜の構造なんかに寄与しているので、これは表皮だけに限った話ではないんですね。
さてこのモイスチャライザーは、スキンケア商品でどれがもっとも近いかと言えば「化粧水」にあたります。
化粧水は、やれビタミンが豊富だからいいとか、やれコラーゲンがどうとかいろいろゴチャゴチャ言ってますが、どのみちあの商品の最多成分は「水」です。
日ごろ自分たちが気にしているビタミンCなんかの添加物的なものは、水に比べたら本当にわずかにしか含まれていません。
ただそのわずかにしか含まれていないものにもスキンケアに役立つ効能があることが、いくつかは報告されていますので、この化粧水というものを利用するのは間違いではありません。
化粧水以外にも、ヘパリン類似物質や尿素添加のクリームなど、治療的スキンケアに用いる薬剤もモイスチャライザーに含まれます。
治療的とお話ししたように、これらの添加物があるとレイノー症候群や凍傷など、一定の傷病に対しての加療にも用いられます。
添加物によっては、傷があると刺激がにつながるなどの違いもありますので、肌に合ったものを選ぶようにしてください。
モイスチャライザーは語弊を恐れずに意訳すると「水分」、そしてその水分を「直接角質にぶちこむ」作用なので、その保湿には即効性があります。
化粧水を先に使い、乳液で蓋をする感覚そのまんまというわけですね。
エモリエント
他方エモリエントは「間接的に」肌を保湿する作用があります。
モイスチャライザーに比べて即効性に欠けますが、その保湿作用は折り紙付きです。
人間の肌には誰でも脂腺から分泌された皮脂が存在しており、この皮脂に汗なんかの水分も混ざることによる「皮脂膜」が形成されています。
この脂分による膜が角質からの水分蒸発を防いだり、外界からの刺激、病原体侵入を防ぐなどの役割があります。
エモリエントは閉塞剤と呼ばれる保湿に特化する成分が含まれており、油分と合わせて保湿効果の維持に努めます。
この閉塞剤は前述のモイスチャライザー内に含まれている化粧品や医薬部外品もあり、総じて保湿効果の向上に寄与します。
エモリエントの医薬品の代表はワセリンです。
めっちゃくちゃにベッタベタなんですが、保湿力は折り紙付きです。冬場の頑固な乾燥性皮疹にも治療用スキンケアとして用いることのできる、簡便且つ一線級の薬品です。
このワセリンに準じた医薬部外品や化粧品もドラッグストアにはたくさん陳列しているので、冬場の保湿を考える際はぜひ一考してみてください。
使い分け
モイスチャライザーとエモリエントはたくさんの種類があります。
種類があるといったのは、薬品としての種類というのももちろんですが、その剤型にも多様なパターンがあります。
比較的塗りやすいフォーム(泡)やローション、ジェルタイプのものから、塗り広げづらいオイルやバタータイプのものまで。
だいたいは「塗りやすい≒保湿力そこそこ」「塗りにくい≒保湿力高い」の相関があります。
ただ保湿力だけを求めると、昨今のクソ暑い真夏の風呂上りにバタータイプのエモリエントを毎日塗るようになってしまい、使用感が非常に損なわれてしまいます。
日本の夏のような湿気にあふれた最悪な気候の国では、夏場はもうちょっと使用感の良いミルクタイプくらいのものにとどめておいてもいいかもしれません。
汗が封じ込められてしまって蒸発できず体内に熱がこもって寝苦しさに繋がってしまう事もあるでしょうしね。
まとめ
モイスチャライザーもエモリエントも星の数種類があります。
ただ、どれを使うかというよりもいかに早くからケアに臨むか、という事の方がスキンケアにおいてはまず重要だと考えられます。
しっかりケアの土台というか自分なりの方程式を組み立てた後に、そのパーツとしてどれが肌に合っているか、どれがコストパフォーマンスとしてよいかというものを探していく方がメリットは大きいのではないでしょうか。
正直3000円と50000円の化粧水にはかなりの差があると思いますが、3000円の化粧水と10000円の化粧水は、使って効果の差がどれほどあるかはわかりません。
お金をかけるというよりは、スキンケアは「手間」の世界だとまず考えましょう。
手間をかけた分だけ将来の自分に返ってくる、年金みたいなものです。(最近年金についてはいろいろ言われていますが)
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