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#恋愛

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僕の恋愛系のnoteをまとめています。 大恋愛の末フラれた男の殴り書きです。
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2019年7月の記事一覧

【薄い本】Eine kleine Nachtmusik

【薄い本】Eine kleine Nachtmusik

Eine kleine Nachtmusik (アイネ・クライネ・ナハトムジーク)
『小さな夜の歌』

・・・

『セミってさ、昼しか鳴かないらしいよ。夜はどこかで寝てるのかなぁ。』

彼女が急にそんなことを言い出した。既に夜の帳は下りている。夜風で揺れるカーテンの間から、気だるげなネオンが見え隠れする。彼女の服を脱がせ、ブラジャーのホックに指を掛けたところだった。

『なんで急にセミが出てくんだ

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夏デート

夏デート

女性の方が準備が大変だというけれど、男だって準備は大変だよ。
朝は早起き。シャワーを浴びて、服をじっくり選ぶ。かっこ悪い服はダメだ。野暮ったくなく、かつさりげないオシャレを。
ヘアアイロンとワックスで髪型をバシッと決めて、お気に入りの香水をつける。
君の隣で少しでもかっこいい男でいられるように、出発直前まで大忙し。
そして、約束よりかなり早めに集合場所にスタンバイするんだ。

汗をたくさんかいた。

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未練

未練

あの子が視界にちらつく。赤いN-ONEを見かけるといまだにナンバーを確認してしまう。叶うはずのない夢を抱いて走り出してしまいそうだ、ゆれている、面影に。まったく別の命に代わってしまいたい、でも記憶は、そのままでいて。友達になったはずだったのに。連絡なんてできるわけない、友達として。二人の時間は、溶けてなくなって、新しい花の養分になる。あの子が誰かと咲かせる花の。

二人で使おうと決めた入浴剤が泣い

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横顔・夏

横顔・夏

家の近くに大きな川がある。水の上では光が跳ね、風が草花を優しくなでる。芝の上に寝転ぶと、優しい空気が二人を包む。わたしの手をあなたの手に優しく重ね、横顔にやわらかくキスをする。そんな二人の世界を上から太陽が覗き見て、顔を赤らめている。

夜には川へと向かう人の川ができる。うちわ片手に、カランコロンと下駄が笑う。流れの中ではぐれないように、ぎゅっと君の手を握る。まもなく打ち上がる花火は君に嫉妬するだ

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紅い忘れ物

紅い忘れ物

部屋を掃除している時、棚の上から何かがコロコロと転がった。見覚えがある。君がよく使ってた赤い口紅。僕の家に忘れていったもの。次来た時に返そうと思ってここに置いていたんだ。結局返せなかったなあ。そもそもなんでこんなところに置いたんだっけ。覚えてないな。あれ、これ、いつ忘れていったんだっけ。覚えてないな。あれ、最後に会ったの何月何日だっけ。別れてもうどれだけ経つんだっけ。僕らどんな話で盛り上がってたっ

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