なんで勝ってる? 今年のパイレーツ【野手編】
前回の記事です↓
引き続き今回は野手について紹介したいと思います。
まずは4月25日時点でのパイレーツの打撃成績。
・HR27本は全体11位。
・111得点は全体12位。
・88四球は全体7位。
・186三振は全体7位(7番目に少ない)。
・25盗塁は全体2位。
・打率.250は全体12位。
・出塁率.329は全体11位。
・OPS.765は全体8位。
以上のような成績になっています。長所を挙げると「三振は少なめであり、四球はそれなりに多く、盗塁をたくさんしていてOPSも比較的高め」といったところ。非常にバランスはいいですが、一見MLB全体2位の勝率を誇るチームには見えません。それでも多くの点で例年より良化しているでしょう。
何よりも本塁打数。11位というのは決して高くありませんが、ここ数年のパイレーツの長打不足からみればかなりの数字。毎年のように貧打、長打力不足であり「単打単打残塁0点」みたいな展開を何度も見てきたファンとしては本塁打で点が取れるというのはかなりの激変です。
その他で特筆すべきは盗塁の多さ。今シーズンから導入のベース拡大、ピッチクロックをフルに活用してると言えるでしょう。良化してるとは言え打力の低さは健在であるため、盗塁で進塁して得点に繋げていくのはパイレーツのようなチームにとって非常に重要です。
次に何人かの選手をピックアップして見ていきたいと思います。
●Connor Joe 30歳 1B/LE/RF
打率.357。出塁率.455。OPS1.098
まずは何と言ってもコナー・ジョー。野手の「嬉しい誤算」筆頭。アジア系であり、さらさら黒髪ロングヘアが特徴的な選手。元々パイレーツにドラフトされてプロ入りした選手ですが、色々と渡り歩きロッキーズとのトレードで古巣パイレーツに復帰。
打率.357。出塁率.455。OPS1.098とここまで非常に良い成績を残しています。
ポジションも1Bに両翼とパイレーツが埋めたかったポジションをしっかり埋めてくれており、FAも27年オフとまだまだ長くコントロールできる点も魅力的。
各種指標は以下の通り。
ほぼ真っ赤。走力以外は平均以上から上位と非常に優れていますね。アプローチも良く、アプローチが優れているからこそ打球の質も上がっているのでしょう。
OAAも良く、守備でもプラスなのは嬉しいポイント。ライトではマイナスですがレフト、1Bではプラスです。
上述した通り27年オフまでコントロールできるので、得点力が低いパイレーツとしてはトレードに出さず残しておくほうが無難にも思えます。パイレーツには「外野手問題」がありますので(私が勝手に思っているだけですが)。以下「外野手問題」について。
現在パイレーツの外野プロスペクトは、数はいるが今ひとつ小粒といったところ。特に打力に関してはメジャーでいい数字を残せそうな選手はほとんどいません。
現在打の要であるレイノルズとはまだ契約延長がまとまっておらず、流出の可能性は残されたまま。万が一レイノルズ放出となると打力は一気に落ち、特に外野に大きな穴があくことになります。
現時点でレイノルズ以外に外野レギュラー当確といえるのはスウィンスキーくらい。スミス=インジグバはMLBで苦戦中であり、マイナーでもスワゲティが今ひとつ。エンディ・ロドリゲスも一応外野も守りますがメジャーでどういう起用になるのかはまだ未知数。
現在ショートのクルーズを外野にコンバートする、捕手守備に難のあるヘンリー・デービスがライトの練習もしているなどの話もありますが、未知数な点にはかわりありません。
それらを考えると、まだシーズンも始まったばかりですがコナー・ジョーは今後もキープしたほうが良さそうだと現時点では考えております。
●Jack Suwinski 24歳 CF(OF)
打率.255。出塁率.383。OPS1.021
続いても外野手。まずはsavantの数字から。
こちらも一部を除き真っ赤です。空振り率、三振率は高いですが、一方で四球率も高く、ボール球にも手を出していません。
打球速度も非常に優秀であり、バレル率も高いので打球の質も文句なし。足も速く肩も平均以上であり、OAA(守備能力)も非常に高いと、完璧な数字です。
4月25日現在、打率.255。出塁率.383。OPS1.021と素晴らしい成績。若干打率は物足りないですが、去年が.202だったことを考えればかなり良化しています。
昨シーズンも106試合で打率.202に対し出塁率.298と1割近く高め。とはいえ元の打率が低いためHR19本打ちながらもOPSは.709。今シーズンはすでに本塁打も5本打っており、シーズン30本も目指せるペース。今年はOPS.900以上を目指してほしいものです。
守備に関してもセンターを中心に守りOAA+2。センターでもマイナスを出していないところが非常に良いポイントです。去年も機会は少ないながらセンターで+1。
長年センターを守っていたレイノルズのセンター守備指標が大幅に悪化した今、彼がセンターを守ってプラスを出してくれるのは非常にありがたいところ。
前述した「外野手問題」の中にはセンター守備の人材不足もあったため、スウィンスキーの存在は今後のパイレーツの行く末を大きく左右すると思います。彼が怪我でいなくなったらクルーズ離脱より痛手ではないでしょうか。
●Andrew McCutchen 36歳 DH/RF
打率.275。出塁率.381。OPS.888。
言わずもがな、王の帰還。スーパースターがピッツバーグに戻ってきました。しかもそのスマイルだけではなくあの頃の成績まで携えて。
こちらも非常に赤いです(今更ですが赤いほどいいです)。
年齢による衰えで主にDHの出場になり守備機会は少ないですが、それでも一応ライトでOAA+1。走力が衰えてないところもびっくり。
特筆すべきはやはりアプローチ。三振率、四球率、空振り率、ボール球スイング率共に優秀であり、アプローチがいいからこそハードヒットも多くなっているのでしょう。バレルが若干少ない点だけは多少心配ですが、打球速度は十分出ているのでそれなりの数字は残すかと。
4月25日現在で打率.275。出塁率.381。OPS.888と引退が近い選手の数字ではありません。これまた「嬉しい誤算」の一つ。この調子で打線を引っ張ってほしいです。
例えここから負け続けTDLで売りに回ったとしても、マカッチェンだけは出しちゃいかんと思います。さすがに。
●Rodolfo Castro 23歳 SS/2B/3B
打率.259。出塁率.377。OPS.791
長所短所が目立つ形に。打球速度とBB%、バレル率が優秀です。
その結果4月25日現在で打率.259。出塁率.377。OPS.791と十分な打撃成績。
守備は正直悪いですが、重要なのは骨折で離脱したオニール・クルーズの穴を埋めてショートを守っている点。クルーズ離脱で今季絶望と思われた後もチームは勝ち続けており、ショートを守り十分な打撃成績を出しているカストロはそれに大きく貢献していると思われます。
●Carlos Santana 37歳 1B/DH
打率.253。出塁率.333。OPS.755
37歳の大ベテラン。打率.253。出塁率.333。OPS.755と年齢を考えれば十分にやってくれていると思います。少なくとも契約時に期待されていた以上の数字は今のところ残せているのではないでしょうか。このまま活躍してもらいTDLでトレード、というのがおそらく既定路線でしょう。
●Ji Hwan Bae 23歳 CF/2B/SS
韓国出身のスピードスター。5盗塁はチームトップ。
彼の一番のポイントは、二遊間を守りつつセンターまで守ってくれている点でしょう。上述した「外野手問題」「センター守備問題」がある以上、センターを守ってプラスを出してくれるだけでありがたい存在。おまけに二遊間まで守っちゃう(そちらは守備指標低いけど)。
打撃では大きな成果を残すのは難しそうですが、守備の面でUTとしてうまくポジションを埋めていってくれればなあと思います。
●Jason Delay 28歳 C
打率.314。出塁率.368。OPS.854
何故か打ってるキャッチャー。嬉しい誤算代表。キャッチャーのため出場試合は少ないですが、35打席で打率.314。出塁率.368。OPS.854と非常に優秀。フレーミングもある程度いいみたいなので、この調子で打ち続けて正捕手になってください。
●その他の選手
レイノルズとヘイズは今更書く必要もないだろうと思い書きませんでした。
一応、レイノルズは外野手(レフト中心)で28歳。
現在5本塁打OPS.872。週間MVPも獲得しましたがその後は不調気味。とにかく彼がいるといないとでは打線のレベルが段違いなのでなんとしても契約延長してください。27年オフのオプトアウトならギリギリ呑める(呑めるか?)
ケブライアン・ヘイズは26歳で三塁手。
やはり打撃不振。不振というかこれがもう限界なのか……。せめてOPS.700は出してください。
言わずもがな守備の名手で、この2年で最も守備の良かった選手はヘイズと言っても過言ではないでしょう。実際21~22年のDRSは+40で全体1位。今年こそゴールドグラブ、プラチナグラブとりましょう。
以上、また長々と書いてしまいましたが、今年のパイレーツの主な野手陣の紹介でした。
読んでいただきありがとうございます。ツイッターなどで紹介してもらったりスキつけていただけると幸いです。
今後とも何卒よろしくお願いします。