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中小企業が、優秀な人材を集めるための方法は?①

以前の記事で、中小企業が、人材採用で大企業と勝負するためには、

「金銭」だけではない「総合的なバランス」を重視した人事施策を取り、従業員満足度を高める。

ことが有効ではないか、と記載しました。

そこで、その具体的な方法として、「トータルリワード」というマネジメント手法をご紹介したいと思います。



1.「トータルリワード」とは?

アメリカ発祥のマネジメントで「トータルリワード」という考え方があります。

社員は金銭的報酬のみを求めて仕事をしているわけではなく、

「金銭的報酬と非金銭的報酬の総合的なバランス」

をモチベーションの源としている、という考え方です。

金銭的報酬と非金銭的報酬の総合的なバランス、
これを「トータル・リワード」と呼んでいます。

直訳すると、トータル(total)とは「全体的な」という意味。
リワード(reward)とは「報酬、報い」という意味。

つまり、トータルリワードとは、「全体的に報われること」という意味になります。


2.非金銭的報酬も重要

報酬というと、給与、賞与といった金銭的なものをイメージしますが、

○ 適正な評価
○ 健全な労働環境・人間関係
○ 適切な仕事の質量
○ キャリアアップ・自己実現
○ 自分の属する組織に対するリスペクト
○ ワークライフバランス

というような、非金銭的な報酬(環境)も満たされて、総合的な満足度でモチベーションが上がっていく、とするのが、トータルリワードの考え方です。

すごく簡単に言うと、「従業員満足度UPは、お金だけじゃない」ということになります。


3.「人手が不足していない企業のその要因」は?

下記図は、2024年版中小企業白書からの引用で、「人手が不足していない企業のその要因」という調査の結果です。

2024年版 中小企業白書


1位は、「賃金や賞与の引き上げ」という金銭的要因になっています。

しかし、

2位の「働きやすい職場環境づくり」
6位の「働き方の多様化やワークライフバランスの推進」
7位の「仕事内容の魅力度の向上」

などの要因も上位にランキングされており、非金銭的報酬も、金銭的報酬と同様、人材集めに重要な要因であることが示されています。


4.トータルリワードで求職者の応募数増!

下記文は、「令和5年版労働経済白書」からの引用で、賃上げやワークライフバランスが、企業や労働者へどのような影響を与えたか、を調査した結果です。

フルタイム・パートタイム別に推計結果をみると、フルタイムでは求人賃金の下限を最低賃金よりも5%以上高い水準を提示すると、募集人数一人当たり、1か月以内の被紹介件数は約5%、3か月以内では約10%増加することから、求人賃金の引上げは、一定程度、求職者の応募を促す効果があることがうかがえる。

令和5年版  労働経済白書

求人賃金以外では、完全週休2日やボーナスは、それぞれ1か月以内の被紹介件数を15%程度、3か月以内では20~30%程度引き上げる効果があり、休暇等の条件を見直すことも効果的であることが示唆される。
一方、時間外労働は被紹介件数を有意に引き下げており、求職者がワーク・ライフ・バランスを重視する傾向もうかがえる。

令和5年版  労働経済白書

給与の増加は求職者の応募を促す効果があるのはもちろんですが、

「休日の充実やワークライフバランスの改善も、同様に応募者を引きつける効果がある」

という調査結果が出ています。


5.トータルリワード実現のための条件

賃上げ、福利厚生の充実、ワークライフバランスの改善を実行するためには、継続的な企業経営の源泉となる「利益」が必要です。

給与を上げるには資金が必要ですし、働きやすい環境やワークライフバランスの充実のためには、最低限の人員の余裕も必要になります。

そのためには、会社が利益を継続して出していくことは非常に重要です。

しかし、金銭的な負担をそれほど必要としない施策もあり、働きやすい職場環境の構築、仕事の魅力を高めること、などが挙げられます。

まずは実現可能な範囲で従業員の満足度を高めるための施策を実施し、段階的に実行可能な施策を広げていくことが重要ではないかと思われます。

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