花よりラーメン
昨日はわたしの誕生日だった。
結婚して4年、毎年誕生日にはお花をくれた。
今年はじめて、お花がなかった。
来年はあるだろうか。
来年は、居てくれているのだろうか。
考え出すと不安になって沼に沈む。
実は誕生日の前日、たまたま面会日だった。
「明日は何の日だ!?」とオットに聞いたら
しばらく考えたあと「わからない」と答えた。
正直ショックだった。
仕方ないよね。今日が何日かもわからないんだ、きっと。と
気持ちを落ち着かせる。
オットに罪はないけれど
「嫁の誕生日忘れるほど、世の中に怖いものないんだからね。」と念のため脅しておいた。
取り繕うように、「何か欲しいものある?」と聞いてきたので
「それは帰ってからのオットの宿題!何か私が喜ぶものお願いします!」
と頼んできた。
だから、早く帰ってきてね。と伝えた。
「オットは帰ってきたら誰か会いたい人はいる?なにがしたい?」
と聞いたら、
「ぴっぴちゃんと1秒でも長く居たい。それだけでいい。」
と言っておった。
泣かせてくれる。誕生日に花をねだるような自分が欲どおしく感じる。
すみませんでした。
わたしもそれでよい。でもひとつだけ、オットにねだった。
「誕生日に、ラーメン食べてええか」
実は、私はオットに誓ったことがある。
オットと私の好物を、退院まで我慢する。
というすこぶる謎の誓いだ。
オットは3月から、飲み込みの力が弱ってしまってごはんが食べられなくなった。
だから、わたしも、オットが退院するまで、大好きな食べ物を我慢するとオットに誓った。
オットは、そんなことしなくていいよ、
って言ってくれたけど、そうしないと気がすまなかった。
ちなみに、私の大好物のラーメンと、2人が大好きなお寿司と、オットの大好物のカレーの3つを我慢してる。
(香川県民のソウルフードであるうどんを提案したら、それは香川県民にとって死刑に値するのでは?と免れた。セーフ!)
そして、花のかわりにラーメンをねだった私に
「もちろんや!メンマも、煮卵も、好きなだけトッピングしていいよ!」と仏のオットは言ってくれた。
よし来た!と思い、誕生日当日、台風のさなか、30分並んでそこそこ人気のラーメン屋さんで半年ぶりのラーメンをいただいた。
待ちに待ったラーメン!!うれしい!
半年ぶりだったらどんだけおいしくてぶっ飛ぶんだろうと思ったら
不思議と、ぜ~~~~~~~んぜん美味しくなかった。
あれあれ??
と思って、夜ご飯もラーメンにしちゃらぁ!今日はラーメン三昧や!
と思ったら、まさかの昼寝をしてしまって起きたらすっかり夜だった。
田舎なうえ、その日は台風だったため、あらゆるラーメン屋が閉まっていた。
詰んだ。
でも私はラーメンが諦めれない。
これを逃したらいったいいつになるのか。
夜中の暴風吹きあれる町中を徘徊する。
やはりどこも開いていない。
泣く泣くコンビニに飛び込んで
そこそこ良いラーメンを見つけて買って帰ることにした。
…やっぱりおいしくなかった。笑
これはなんだろうねぇ。
罪悪感からなのか、なんなのか。
私が好きだったラーメンは、
有名店の何分も並ぶところでもなくて
1人で食べるいいラーメンでもなくて
オットと半分こで食べる、
こんな時間に!太るね!とか言いながら
夜中に食べる出前一丁が
世界で一番おいしかったんだなー。
そんなことを、まずいラーメン食べながらしみじみ思った。
34歳の秋。
でも34にもなると、少しだけ図々しくなってくる。
なんとなく、今年はオットからお花もらえないなぁということを見越して
フラワーアレンジメントに没頭している母に
「誕生日に花くれぇ」とカツアゲしといた。
めちゃくちゃ張り切って誕生日よりだいぶフライングして
全然関係ない日に急に家の玄関に置いてくれた。
全然関係ない実家で採れたキュウリと
なかなか泣かせる手紙といっしょにね。
ありがとやで、母。ちょっと泣いたわ。
来年こそは、
来年こそは!と思うけれど。
去年は、UFOでもいいから一緒に食べたいと言うておった。
UFOも、出前一丁も、花もいらないから
来年はそばにいたい。
34歳の秋、そう強く思った。
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