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夫がある日、立てなくなった②検査の前に


2018年5月。

そういえば、最初の検査入院と筋生検の間に1ヶ月くらい間が空いていて
その間に彼の誕生日や長期休暇があった。

お互い旅行が大好きで、いろんなところに旅行に行こうね、
と付き合ってすぐ約束したのだ!!


律儀なオットは入院中に色々とプランニングをしてくれ、
お花が大好きな私に、色んなお花畑を見せてやりたい!
と、富山県や関西へと連れ出してくれた。

今思い返せばまぁまぁ無謀だったなと思うが
お互いそんなに病気のこともシリアスに受け取っていなかった。

なんせ付き合ってまだ3ヶ月そこら。
ウキウキすぅぱぁハッピーな時だから!!

ただ今思い返せば、その旅行中にもおかしいところがいくつかあった。

実は、私は無類の動物園好きで、
この旅行中も動物園に行ったのだが、どうやら彼の様子がおかしい。

明らかに疲れていて、坂道が登れない。
途中で、リタイアしてしまった。
暑いからか❔おデブやから体力がないのか❔

次に進もうとするもベンチから動かないオット。
今なら 動かないのではない、動けないのだ。と分かるのだが…

その時はどうしても優しい気持ちになれなかった。

当時の私は病気に関して何の知識もなかった。
(何ならちょっと怠けているんだと思ってた)

そして私は私で、思うところがあったのだ。

実は私の母は身体障害者である。
兄を出産したときに、リウマチを患ってしまった。
今は、日常生活は困ることなく送れているが、
私が幼い時の記憶では、母は体が弱く、
思いっきり甘えられた覚えがないのだ。

一番小さい時の記憶。保育所の頃。
みんなはお母さんが参観日に来るのに、私は叔母さんが見に来た。
運動会も、叔母さんやお父さんと走った。
悪気ないおともだちは、
「どうしてお母さんじゃないの」
と聞く。

返す言葉がなかった。辛かった。

その上、兄も小学生で大病を患い、
母はずーっと、兄のものだった。

思い返すといろんなことで、「お母さんはできないから、ごめんね」
と言われ、たくさん諦めてきた。
それでも嫌だ!!と駄々をこねられたらよかったのだが
変に空気を読みすぎてしまい、
小さい時から歯を食いしばってきた人生だったように思う。

そういうバックグラウンドがあって、

「あぁ わたしはまた いろんなことを
 あきらめないと いけないのか」

という気持ちが込み上がったのだ。

なかなか理解し難いと思う。
味わったことのない人には、わからないと思う。

何となく、オットが病気のせいで思うように体が動かなくなり始めるのを見て
小さい頃からの、ずっと、ずっと寂しかった気持ちが溢れ出してしまったのだ。

最終的に、動物園は諦め、
お互い変に謝り合って終わった。

謝られてまた悲しくなった。
ごめんよ、オット。

もう一度あの動物園に行ってリベンジしようね。

サポートありがとうございます。 大好きなオットのために、使わせていただきます🙏