人間とたぬきのハーフ

高校生の頃、僕はイケメンだった。
身長１７８センチ。体重５８キロ。つるつるの肌と髪。
なんで童貞だったのかわからないほどにイケてた。

現在の僕。昔はイケメンだった。
身長１８１センチ。体重７６キロ。つるつるの未来を予感させる髪。
なんで童貞だったかわかってるけどイケてない。

お腹と顔回りばかりぶくぶく太って。それこそ、たぬきと人間のハーフみたいになりつつある。腹なんてほとんどたぬきだ。いつの間にかそれをたたくのが癖になってしまっている。腹太鼓。ぽんぽこりん。

原因は当たり前に食べすぎだ。
呑兵衛には大きく２種類いて、つまみを必要とするタイプとしないタイプがいる。
僕は前者。もはや食べ物をつまんでるのか酒をつまんでるのかわからないくらい食べる。一番ひどかったときは、深夜２時から冷凍のから揚げを一袋食べたり、それが無くなればウインナーを焼いたりしていた。本人は「炭水化物じゃないから大丈夫」と思っていた。全然大丈夫じゃない。たぬきになった。

現在２８歳。僕というブラック企業で働いてきたエリート胃袋も、さすがにストレスを隠しきれなくなってきた。
例によってこれを書きながら焼酎を飲んでいるけど、なんと、なにもつまんでいない。

今日は夕飯のグラタン以外なんにも食べてないんだ。信じられない。でも、なんだかお腹がいっぱいで、米焼酎だけチビチビとやっている。
胃袋からしたら、今日は早上がりできたなぁってなもんだろう。

いいよ。今日は休んでて。明日はどうなるか分かんないけど。

でもきっと、だんだん食べられなくなってくんだろうな。
そしたら痩せて、またイケメンになれるかな。

あ～。でもなぁ～。めちゃくちゃに食べて、めちゃめちゃに飲んで、ベロベロになる楽しさっていうのがあるんだよ。

老いない体と、太らない体が欲しいなぁ。
ついでに３億。

神様、おねがいたぬ。