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【長編小説】異精神の治し方「合法処刑」.6
そして決着はすぐについた。タナカの頭上から雨が降り注ぎ、それを浴びたスーツを着た犬は皮から溶けてしまった。
それでお終いだ。
スーツを着た犬が溶けてなくなると、異精神者は呆けた表情になる。
タナカは急に興味をなくしたようで、笑顔は消えていた。
予定通りの時間にお昼ご飯を食べることになった。イレギュラーは起きたが、対処は簡単に済んだと言うことだ。
「一人目の処刑人はどうなったんでしょうか
【長編小説】異精神の治し方「合法処刑」.7
タナカが会いに来た理由をざっと考えてみる。多分学校内では一番顔見知りではあると思うけど、それ以上に納得できることは考えられなかった。わざわざ会いにきた理由。
「私に? どうして?」
「惹かれ合うみたい」
「そうなんだ?」
「うん。君も気づいてるはず。気づいたはずだよ」
「いや、そんなこと……」
タナカが言いたいことは、なんとなく分かっていた。きっと合法処刑を目にした時に感じたあの気持ちのことだ