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【映画・音楽・アート】令和の『モノノ怪 唐傘』を考える。(前編)

こんにちは
ぴぴちゃいるどです!

『劇場版 モノノ怪 唐傘』を観てきました!!


早速メモに感想を書き殴っていたら、言いたいことがありすぎたので【前編】【後編】に分けますw

【前編】だけで、約5,000文字。スミマセン…


まず結論は大満足!!
何回も観たい!!
金は捻り出す!!
何年も待ったんだから!!!!

強いて言えば『続編あるならはよ言ってくれ!!』ということくらい!!笑

映画観ながら「登場人物も設定も広げる割に話の展開が遅いやん...どうやって畳む?この内容!?」と頭の片隅で心配しながら観てしまいました。


...と、思っていたら公式Twitterから早くも続編の発表!!

エンディングで3、4本立てが匂わされてましたが3本の予定なんですね。

公開日ホワイトデーですねー!
行きますー!生きますー!


noteも書いて下さって手厚い〜
note民は大歓喜!!



今回はせっかくなので布教活動も兼ねて、前提から話します!

『モノノ怪』を観たことがないかたも、ぜひ観るきっかけにしていただけると嬉しいです☺️


内容はバリバリにネタバレの感想となるため、視聴予定のかたは回れ右案件🙋
※ネタバレあたりになったら再アナウンスします。


では行きましょう!






『モノノ怪』とは

2007年7月にTVシリーズとして放送され、スタイリッシュなキャラクターデザインに、和紙のテクスチャーなどCG処理を組み合わせて、今までにない斬新な映像を生みだし話題となった「モノノ怪」。

前作「怪~ayakashi~」シリーズの1エピソードとして放送された「化猫」から引き続き、薬売りの男がモノノ怪に立ち向かう冒険譚を紡ぎ、多くのファンを魅了した。

さらに、2020年に行われたノイタミナ歴代70作品を対象とした投票企画「あなたが選ぶ思い出の3作品」(2005~09年度制作部門)にて、堂々の第1位を獲得。
放送から15周年たった今もなお根強い人気を誇る。

根強いファンの多い作品ですね!!

今回の映画もクラファンで1,000万円目標のところ約6,000万円が集まったとかなんとか...

愛されてますねっ♡

ちなみに私はリアルタイムではなく、大学時代に観てハマりました。

当時、ノイタミナ作品が好きで『PSYCHO-PASS』『ギルティクラウン』『坂道のアポロン』あたりを観ていたのですが「過去作品も観てみたい!」と思って『モノノ怪』を観たのがキッカケです。

通常のアニメ作品とは違って、浮世絵が動いているような作画や表現の仕方がスタイリッシュでかっこいいのです!!

あと、単純に極彩色の世界観が好き。


一応、2〜3話でひとつの噺になっているのでサクサク観れます。

『怪 〜ayakashi〜 化猫』は観れませんが、『モノノ怪』ならNetflixでも観れるようなのでぜひ観てみてください✨


アマプラでもレンタルならできます(笑)
『怪 〜ayakashi〜 化猫』も観れそうです!
…リンクが上手く貼れませんが。


『モノノ怪』は【分かりやすいストーリー】というより【余韻のあるストーリー】なので、明確な答えが欲しいかたにはモヤっとすることもある作品かもしれません(笑)

しかし、考える余韻があるからこそ何度も見返して楽しむことができます。
私はそこが好きです!


本作は考察するタイプのオタクも多い作品なので、見終わったあとに感想を漁るのも楽しみのうちのひとつだったりします☺️☀️

そんな『モノノ怪』が今回、劇場版になって帰ってきたのです!!!!




『劇場版モノノ怪 唐傘』全体の感想

※チョイとネタバレ


ストーリーは勿論のこと
映像と音楽も相変わらず良かったです!

1回目はガラガラの映画館で集中して観たかったので朝イチ回で観てきました!

映画館の写真と共に感想をお届けします。

舞台が大奥だったので、男女の情念や女性間のドロドロ系ストーリーかと思っていたのですが...

今回は大奥という環境で過ごす人々の
【組織と個人】にフィーチャーされていました。

17年前の作品かつ時代劇風なので、過去作は
大体男がクソで、巻き込まれた女・子供・動物がモノノケになるパターンが多かったです。

しかし今回は令和版にアップデートされてました!


『組織や自分の目標のために、なにかを捨てた経験のあるかた』

…には特に響く内容となっていると思います。



そしてなんといっても、今回は劇場版!!

映像と音楽の迫力が凄かったです!

アニメ版の薬売りさんは【静】でしたが
映画版の薬売りさんは【動】でした。


映画館で観ることを意識して作ったんだろうな...
という作りになっていたので、映画館で観ないと勿体ない!!!
※酔ってしまったかたも居るそうなので、酔いやすい方は酔い止め持参でw

下記のような表現も『モノノ怪』らしさですよね。


下記はアニメ版ですが、絵画オマージュなんかも散りばめられています。

上記はクリムトですが、水墨画やゲルニカ風のモチーフなんかも出てきて感性が刺激されます😲💘



ストーリーの感想

※ガンガンネタバレあり

ここからは、ガンガンネタバレ込みで書いていきます!

自分なりの解釈を交えながら書いているので、イチ意見として見ていただけると嬉しいです🙂‍↕️


①捨てたものは...?

大奥に入るときに、大事なモノや想いを井戸に捨てなくてはいけないシーンがありましたね。

『大切なモノを捨てる覚悟がないと大成出来ない』という最初のメッセージは
『おぉう...』となったかたも多かったのではないでしょうか。

そして、大奥といえば【夜伽】のイメージが大きいですが、実は【官僚機関】としての側面も非常に強かったようです。

つまり、大奥の女性も現代人と同じように、組織や目標(お役目)のために、自分自身を捨ててきたとも考えられます。

そう思いながら、改めて予告を見ると心に刺さるものがありますね。

私も営業時代に組織と自分の肩書きのためにお客様を数字として見ていた時期もあるのでグッサグサでした(笑)

何かを捨てるほどじゃないとはいえ、大衆や自分の名声のために、自分自身を殺した経験は誰しも少なからずあると思います。

今作は、過去作のような明確なメッセージ性というより、誰にでも当てはまる想いを広く掬い上げるような構成になっている気がして面白かったです。



②渇き

『大切なもの』『捨ててはいけないもの』と同じくらいに出てきたキーワード『渇き』

これは『心の渇き』のことだと解釈しています。


もちろん大切なモノを失ってしまった喪失感から来る渇きもあるのですが...


本作では『執着心』『承認欲求』が満たされないことも『渇き』として描かれているように思います。
(本編でも「認められたい、愛されたい、必要とされたい」という台詞もありましたからね。)


実際に、天子様が夜伽の相手を決めるシーンでは、天子様もフキ以外の女性も渇いているのに対して、フキだけ渇いて居ない。

最初は天子様が『乾いた』とか言い出すから『なんだコイツ、顔が良いからってド直球なセクハラ発言しやがって(バカ)』と思って観ていたのですが...

おそらく天子様がフキを寵愛しているから、フキは乾いていないのでは...と、思ったりしました。

反対に天子様は本来選ぶ側の立場なハズなのに、渇いているのはフキへの『執着心』なのかな...と。

(いうて、フキは天子様を心では拒否してそうだし、天子様もフキ自身ではなくフキが持つナニかに執着してそうですよね。次回以降に期待。)


ところで、天子様とフキの夜伽の間のシーンがエロいとの感想が多くて笑いましたw

めちゃくちゃ分かる。

ダイレクトではなく、身体の一部を映したり壁に春画のカットを入れるといった間接的な表現のほうが官能的だったりしますよね。

まあ、私はフキが脱いだら巨乳過ぎて『普段なんでペタンコなん…』というところばかり気にしてしまいましたが(笑)

1番右下、夜伽の間の扉が
真ん中に月、左右に赤ん坊のシルエットが描かれていて
子宮をモチーフにしてるのかな?って感じで
デザインが攻めてて割と好き。

この2人は今後フィーチャーされそうですが
これまで通り2人の男女的な情念なのか、フキの弟も関わってくるのか気になりますね。

今作は多様性やLGBTもより意識しているような気がしたので楽しみ!


ちなみに、美術とか絵画とか割と好きなので、しばらく前に春画に関する本を読んでみたのですが…

江戸時代、現代以上にエロに対する探究心高めで笑いましたw

様々な娯楽も普及した時代だからか、みんな生き生きしてそうで良い。
タイムスリップ出来るなら江戸を見てみたい。



③剥がれないモノを抱きしめて。

考察というよりは、タダの感想ですが『捨てちゃいけないものを知ることの必要性』を改めて感じました。

生きていると、自分の利益のためや成長のために損切りしてきたモノやコトってあるじゃないですか。

「欲しかったモノを手に入れるために、捨ててきたモノたちは本当に捨てて良いモノだったのか?」
そんなことを考えてしまいました。

進むためになにかを捨てるのは、今の自分が過去の自分になる…ってことですよね。

『新しい自分は本当に必要な自分なのか?』

先に進み成長することがヨシとされる世の中ですが、それもまた多数が産み出しただけの価値観に過ぎません。

もちろん、先に進み成長することは大事です。


ただ
『何かを捨てて、何かを得ることが本当に大切なことなのか?』

そう自分に問いかけることも必要だなと感じました。

薬売りさんの「なにを捨てた?」という台詞に泣きましたね。




④令和の『モノノ怪』

過去作は明確な悪があってストーリーが進んで行きました。

今回は明確な悪ではなく、大衆の価値観が集まって悪を作り出しているのが面白かったです!

まさに多様性の時代だからこその今作だなあという感想!!

映画を観たあとに、今回のテーマは【合成の誤謬】だったと知り『なるほど!』でした。

ちなみに【合成の誤謬】とは、何かの問題解決にあたり一人一人が正しいとされる行動をしても、全員が同じ行動をとると、想定とは逆に思わぬ悪い結果を招いてしまうことを指す経済用語だそうです。

代表的な例として使われるのが家計の貯蓄で、各家庭が消費を減らして貯蓄に回すと、経済全体が縮小し不景気になり貯蓄を取り崩さざるを得なくなるといったようなこと。


今作では【大奥でのお勤め】といった、共通の目標があるものの、個人個人で出力する思考や行動に差があるため、全体として毒が渦巻いていましたね。

結果的にモノノケが生まれてしまった。

ちなみに大奥というと、江戸幕府将軍の世継ぎとなる男子をもうけることが目標というイメージがありましたが、今作はキャリアを積むことが目的の女性も居て現代的でしたね。

将軍の子を産むより、まずは自分のキャリア…みたいなのは現代っぽくて良かったです。

これって正に【多様性の時代】にも言えること。

【1人1人が自分らしく生きること】が、多様性の良さではあります。

しかし【自分らしく生きる】というのは同時に【自分らしく生きる他人を認める】ことでもあります。


劇場のパンフレットにも

『他者との関わりで本質的に分かりあうことは無理だと気付かないと、みんな病んでいく』

『多様性の時代はみんなが好き勝手生きられる環境ではなく、むしろ全員が周りの我儘を少しずつ我慢することで折り合いをつける状態』


…と、書いてあり頷きまくりました。

本編でも『1人の相手が自分を支えることもあれば、憎む対象となることもある』みたいな話をしていましたね。

良くも悪くも、人間は他者に少なからず依存して生きるものだと思います。

多様性の時代で、自分と違う価値観の相手にイラっとすることがあっても、違うからこそ心の拠り所になる場合もありますからね。

令和版の『モノノ怪』は、より自分ごととして捉えられる内容になっていました。




後半へ向けて

まだまだ語りたいことは沢山ありますので、マイペースにどこかに垂れ流せればと思います(笑)

後編では、キャラクター個人個人についてや、音楽、今後の展開について考察しつつ、書いていければと思います。


アニメ版の薬売りさんはミステリアスで色気がありましたが、映画版の薬売りさんは割と交流好きで可愛かったですね😭💜

昔から薬売りさん大好きなので、ぬいを得ました!

かわちい🥹💘

コイツを連れ回して色々な景色を見せてやろうと思います👶🏻🍼

今まであまりグッズ化されてこなかった作品なので嬉しすぎる。(破産)

それでは今日はここまで!!

大好きな作品なので、ぜひみていただけると嬉しいです🙌🏻

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