トップ5%社員は作業時間を区切ることで処理能力を上げている
以前紹介した「トップ5%社員の習慣」の続編を見つけたのでこちらも読んでみた。
今回紹介する時間術の本も基本構成は同じであり、組織の働き方をコンサルティングする株式会社クロスリバーのCEOである著者が、パートナー会社における人事評価上位5%社員の行動や言動を解析し、彼らの時間術をまとめている。
定量的に社員の行動を分析しており、本文でも具体的な数値を用いて結果を羅列している。また、89%程度の再現性が取れたと公表しており、論理的で信用できる内容である。
前回の「習慣」の内容をブラッシュアップしつつ、「時間術」の観点から新たな知見を取り入れている。加えて、「習慣」よりも目次が細かく設定されており、読みたい内容をすぐ検索することができる。
特に有意義だった内容は、「時間を区切って仕事をする」という項目だった。
上位5%社員は他の社員と比べ、時間に区切りをつけて仕事をしている社員が多いらしい。区切り単位としては45分が最も多いようである。
そこで、39社の社員に協力してもらい、5時間連続で作業を行う群と45分ごとに休憩を入れて作業を行う群とで処理能力の差を計測した。その結果、45分ごとに休憩を入れた群の方が、処理能力が1.2倍から1.5倍高くなったようである。定期的に休憩を入れる社員らは、ダラダラと連続で作業する社員らよりも、100%のモチベーションを保つ時間を1分でも長くするよう努力していたことがこの結果につながったらしい。
この項目を読み、自分の研究活動においても実践してみた。
デスク外の実験などは既に時間が決まっているので、デスク作業においてのみ、45分区切りで作業をしてみた。
これまで特に時間を区切ったことがなかったので、そちらをコントロールとして実験した。
結果、定量的なデータを示せないのが口惜しいところではあるが、作業効率は段違いに上昇した。
特に差を感じたのは論文を読みまとめる速さである。
論文を読むときは、何か目的を持って論文を探して読みまくる場合と、趣味の読み物として論文を読む場合の2種類がある。時間区切りは作業効率の上昇に再現性がありそうなので、目的を持って論文を探す場合においてのみ45分区切りを用いた。
これまではなんとなく対象となる論文を流し読みし、参考になりそうなデータをgoogle documentに適当にまとめ、引用論文を読みつつ、集中力が切れたら著者のtwitterやHPを覗きつつ、、などダラダラ作業し、気がついたら3時間以上経過していることが多くあった。
しかしタイマーを目の前に設置したことで、ひとつの論文では5分以内にessenceを掴もう!ラスト10分で今読んだ論文全てをまとめた資料を作ろう!時間がないからtwitterで著者の趣味を探るのは暇な時にしよう!などやるべきことを見据え計画しながら作業できるようになった。
気がつくと1日に読んだ論文の数は、時間を区切る前までと比較して少なくとも2倍以上増えた。
また、45分で区切ったために作業が中断することも多くあったが、むしろこれはいい方向にはたらいた。作業を続けたい気持ちを抑えて休憩する間、脳内では先ほど終わらなかった作業をどう進めるか計画していた。休憩時間を終え作業に戻ると、休憩時間にシミュレーションした通りに作業が進むので非常に効率が良く、集中もしやすい。また、作業中は作業計画と作業内容の2つを並行して考えなければならないが、休憩中に作業計画を立てているので作業中は内容にのみ集中できる。
結果として作業効率は上昇した。
本書にて紹介してあった45分で区切って仕事をする方法は、サボり癖のある私にとって無理やり仕事のことのみを考えさせられることからとても有用な方法だった。
高校生の頃からこの方法を習得しておけば今頃、、と思うほど。
サボり癖に覚えのある方、最近集中していない気がする方、試しに時間を区切ってみたらいいかもしれません。
良書でした。
5%社員の〜シリーズはあと1冊あるみたいなのでそちらも読んでみようかな。