イケナイコトカイ⑧本格的な引きこもり生活に突入
話しは元に戻り、K太中1の1月、原因不明の不登校生活が本格的に
始まる。
気が付くとU斗と共有の子供部屋から唯一内側から鍵のかかる部屋に住み着いて出てこなくなっていた。
この部屋は単身赴任中のオットの書際と言うか物置と言うか。
一人なんとか寝るスペースに知らぬ間に布団を運びこんでそこがK太の要塞になったのだ。
まさしく本格的な引きこもり生活がスタートする。
朝、私が仕事に行った後や、夜中にリビングに出てきて置いてあるご飯やお菓子をひっそり食べているようだ。
20代女性の担任の先生には本人が学校に行きたくないと言っていることを伝えていた。
担任からはいじめや人間関係で躓いている様子はないと聞いている。
私もそう感じている。
ただ部活のハンドボール部がかなりK太にとってハードだった。
一学年上は全国大会に出場した程レベルも高くその分練習も当然厳しい。
秋頃、「もう辞めたい」と言い出した。
せっかく続けてきたからもう少しやってみたら?それでどうしても嫌なら辞めたら。と一旦は引き留めた。
これは自分が中学生の時、入っていたバスケ部の練習について行けず辞めた経験があった。
昔なので先生がビンタ喰らわすとか普通だった。
そんな体育会系は苦手で辞めた後
すごい挫折感が長い事付き纏ったのだ。
けれどまた冬休み中に「自分にはマジな体育会系が合わないし、体力も気持ちもついていけない,」と言う。
ここまで本人にやる気がないならこれ以上引き留めても意味がないだろう。
考えみれば自分の後悔を子供に押し付けただけだったと気が付く。
先生に辞めますと言っておいでよと
答えるとK太は安心した様に頷いた。
それ以降、部活はすでに行かなくなっていたのでそれが原因とも思えなかった。
担任からは定期的に連絡はある。
けれど何となく他人事みたいな事務的でクールな受け応えに感じる。
この人に相談しても気持ち的に寄り添ってもらえるとか具体的なアドバイスなどどちらも期待出来なさそうな気がした。
確か3学期の途中で産休に入り副担任があとを引き継いだように思う。
今考えたら自分が初めての出産を控え、他人の子の不登校に関わる所ではなかったのかも知れない。
不登校になった事もどうしたもんか?と悩むところだが更に気になるのはすっかり暗くどんよりした表情で過ごしていることだ。
以前次男の友達が小1から不登校だったがすこぶる元気だった。
まだ小学生なので無邪気なのかも知れない。
まぁ不登校児に元気さを求めるのもおかしな話しだが。
にしてもK太は身を潜めるように暮らし、家族にも顔を見せない。
たまに見る顔がそれなのだ。
話したい時はドアをノックしまくる。
それでようやくダルそうな力ない返事が返ってくることもある。
よく伝えたいことをメモしてドアの下から入れていた。
ご飯の内容だとか、出かけるので何時に帰るだとか、後はたわいの無いような日常の事だとか。
何とか少しでも何を考えてるのか知りたかったが。
とにかく今後のどんな対応をすれば良いのか学校カウンセラーなる専門家に頼る事にする。