イケナイコトカイ⑨学校カウンセラーの脅しに屈する
学校カウンセラーとの面談を予約する。
当日、中学校の何用の部屋だか忘れたが個室での1対1の面談になる。
60代の姿勢の良い柔和な感じ女性だ。
小学生の頃、学習センターで知能検査を受け学習障害がある事。
中学でも勉強は出来ないが友達も多く人間関係などは円滑である事。
突然3学期に学校に行きたくないと言い出した事。
現在部屋に引きこもり昼夜逆転生活を続けている事を伝える。
ひと通り話しを聞き取ると「それは大変ですね。」
優しく寄り添うような柔らかい表情で続ける
「まず、学校に来れなくても生活習慣を整えてましょう。規則正しい生活を送る事で心身のバランスも整ってきますから。」
とおっしゃる。
確かにそれに越したことはないだろう。
だが現実は鍵をかけた部屋にこもる息子を朝キチンと起きようと思わせられるんだろうか?
だって学校行かないんだし。
他に行く所もないないんだし。
家族に会わない時間帯に活動したいんだろうし。
そうは思ったが、息子にその様に話してみると答える。
更にカウンセラーさんからはこのまま学校に行かない生活の成れの果ての様な話しが始まる。
「中卒だと肉体労働の様な仕事に就くことがほとんどですよね。あまり柄の良くない仕事仲間ができ悪い道に逸れる場合も多いですし。」
とおっしゃる。
私としては学校は行けた方が良いし、行ってほしい。
勉強もしてほしいし、出来た方が良い。
けれど本当に学校や勉強が嫌なら働くと言う選択肢もあると考えていた。
その代わり若くして覚悟を決めて仕事をすることに向き合わないといけない。
どちらかと言うと高校進学よりそちらの方が難しい。
私は職人家系で育ち、父も肉体労働で家族を守ってくれた。
自分自身も独身時はお菓子を作る仕事をしていてレストランで働いていた。
周りに手に職をつけて生計を立てている人達がたくさんいた。
中には中卒の人もいた。
彼らの中にはやっぱり高校出ておきたかったとコンプレックスを持って後悔めいた気持ちを持ってる人もいた。
けれど彼らは立派な職人だったり経営者だった。
確かに中卒だと将来の選択肢がかなり狭まるというのは事実だろう。
しかしこのカウンセラーさんの様に中卒→不良→社会不適合者の様な型にはまったマイナスイメージはいかがなもんか?
一応私は農業、漁師、職人系の仕事でも本人が中卒でやりたいと言うならそれで良いし、応援するつもりとは伝える。
カウンセラーさんは
「そうは言ってやはり学校に行けるようになることが大切ですよ。
自分が紹介する発達障害の専門医で良い先生がいるので受診しませんか」
と勧められる。
確かに教育センターの臨床心理士さんの面談と知能検査は受けたが専門医の診察は受けていない。
一度診てもらっておこうとお願いする事に。
正直、価値観の相違は否めない。
が今の私にとっては誰にも相談出来ないよりマシなのだ。
次回のカウンセリングの予約を入れて帰る。