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ネット上で「話しを聞くだけのカウンセリングは効果がない」と見かけるけど本当に話を聞くだけのカウンセリングは意味がないのか

「日本では、ほとんどのカウンセリングが非指示型で、「聞くだけのカウンセリング」と言われる中、指示型・提案型でカウンセリングを行っています。」
「弊社のカウンセリングは「話を聞くだけ」のカウンセリングは提供いたしません。」
自社のカウンセリングをアピールする文句として「話を聞くだけのカウンセリングではない」という表現をよく見かける。
私が受けているカウンセリングはカウンセラーは指示とかはしないし介入もめったにしない。私の受けている心理療法って「聞くだけのカウンセリング」に当てはまるのかな、、?だとしたら効果が低い心理療法なのかな、、?と不安になることがあった。しかしカウンセリングを受け進める中で「話を聞くだけのカウンセリングは効果がない」とはどういう意味かについて自分なりの理解が深まってきたので、その意味について書きたい。

「話しを聞くだけのカウンセリングは効果がない(低い)」とはどういうことか

「話しを聞くだけのカウンセリングは効果がない」というのは、
誤解を招く表現であると思う。
「話しを聞くだけのカウンセリングは効果がない」パターンとは、
厳密にいうと「クライアントがカウンセラーに話している内容が、知性化だったりネガティブ投影を起こしている他人への不満ばかり」の場合、
主体的に「自分の問題と向き合っている」状態とは言えず、
カウンセリングが進展しない。
一時的に否定せずに話を聞いてもらえて楽にはなるんだけど、自分の問題の根本にアプローチできておらず、カウンセリングが終わったらまた同じネガティブな感情がぶり返し→カウンセリングで吐き出して聞いてもらって一時的にすっきり→また苦しみが復活、、の繰り返しだ。
このような状態のカウンセリングの場合は、
根本アプローチをしていないため「話を聞いてもらうだけのカウンセリングで治療がなかなか進展しない」ということになるだろう。

じゃあカウンセリングがばんばん提案や介入を行うことが正解なのか

それではカウンセラーから積極的にばんばん提案や指示が出されたら、
クライアントの回復は早まるのか。
それが功を奏すクライアントもいるかもしれないが
そうとは一概に言えないだろう。
なぜなら心の問題で苦しんでいる人は、カウンセラーの指示や提案や正論に対し「自分の話を聞いてくれない」という否定的な感情を抱き、カウンセリングに通うことが苦痛になってしまうことが多いから。
また無意識ではあるが自分のトラウマと向き合うことが苦痛なため、知性化や他人の話をすることで心のバランスを保っている。カウンセラーから正論を言われてドロップアウトしてしまっては元も子もない。

そのようなクライアントの心理を理解しているから、臨床心理士などはクライアントが心理学の知識や他人の話ばかりしていようが「あなたは直面化を避けている。自分の問題と向き合いましょう」など正論をぶつけず、否定せずに受容的に聞く姿勢を取るのだと思う。
「カウンセラーが話を聞くだけのスタイルであるから」カウンセリングの効果が出にくいのではなく
「クライアントがカウンセリングの場で、自分のトラウマと向き合う準備ができていない為に他人の文句や心理学の知識の話ばかりしがちで自分の心と本気で向き合えていない」状態だからというのが本質だと思う。

「聞くだけカウンセリング」は自分の心と本気で向き合うための準備

私自身2年半カウンセリングを続けて、8割がたずっと他人の話をしてそれをカウンセラーに受容してもらうというカウンセリングを続けてきた。
最近ようやく「自分の心を考え向き合う」ことが治療の進展につながる、他人の話ばかりしていても治療の進展はしないのだ、ということに気づいた。
カウンセリング初期において他人の話ばかりし続けてしまう人でも
カウンセリングを受けようとする時点で、自分で何とかしなければならないということをどこかで感じている人が多いと思う。
そういう人は、「話を聞いてもらうだけのカウンセリング」で自分のトラウマと向き合うための助走や準備をしているのだ。

まとめ「話を聞くだけのカウンセリングを行っておりません」と言う表現は自社のサービスを売ることしか頭にない無責任なポジショントークと捉えてよい。

自分自身と向き合う準備が既にできている人であれば提案型のカウンセリングで早く効果が出るにこしたことはない。
でもそうではない人も多いからこそ、「カウンセリングは年単位でかかることも普通」と考え、カウンセラーはクライアントの話を否定せずに傾聴し続けているのだ。

自分と向き合う心の準備ができてからがカウンセリングの本番。
その向き合う準備ができずに他人の話ばかり聞いてもらうだけのカウンセリングになっている人は、自分が自分と向き合う準備ができていないことに気づくことが第一関門。
そのことを実体験として腑に落として気づけるタイミングは人それぞれ違うと思うが、ネット上のポジショントークを見かけて自分のカウンセリングに不安を感じた時は「話を聞くだけのカウンセリング」が心の回復の過程で必要な人もいるんだよ、ということを知っておいてほしい。


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