僕の青春は太宰治とともにあった
6月19日は「桜桃忌」です。
太宰治の命日。
学生の頃、3回くらい三鷹の禅林寺に行きました。
4年前にも行きました。
太宰治というと暗くて嫌いだという人が結構います。
でも、大抵の人は読まないで批判するだけです。
代表作と言われている「人間失格」「斜陽」「グッドバイ」
などは確かに暗くて僕はあまり好きではありません。
むしろ駄作です。
もっと素晴らしく、そして「明るい」作品がたくさんあります。
「パンドラの函」「津軽」「女生徒」「葉」「思い出」など
はぎれよく、訴えかけるような文章は太宰にしか書けません。
一文が短く、まるで箇条書きのように、
全編が詩のような感じがします。
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黄昏の頃、私は叔母と並んで門口に立っていた。
はるばると海を越えて、この島に着いた時の
憂愁を思い給え。
老人ではなかった。25歳を越しただけであった。
君にこの生活を教えよう。知りたいとあらば、僕の家の
物干し場までくると良い。
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いくつかの書き出しを「晩年」の短編集から拾い上げてみても
「トンネルを越えるとそこは雪国だった」(川端康成)
と同じような情景が浮かび、実に訴えかけるような文章です。
実家、青森の金木に生家があり、まだ旅館だった頃
そこに泊まったことがあります。
(今は泊まれません。)
斜陽館はまるで迷宮のような建物で、太宰の心は
そこから始まったのだと直感しました。
僕が太宰治に凝っている頃、親友は芥川龍之介に
凝っていました。
また他の親友は坂口安吾に凝っていました。
当然、集まっては文学論議をしました。
「邂逅」(かいこう)という同人誌を出しました。
そのときに使ったペンネームが剣崎克彦です。
今でもずっとその名前は続いています。
学生運動がまだ燻っていた頃の話です。
結局、その時の親友とは今でもお世話になっています。
集まっては政治、経済、社会のあらゆる話をします。
青春時代にどんな本を読むかは
その後の人生に影響を与えるものだと思います。
だから、若い人には自分に合った「文学」を
読むことを勧めます。
文学史で習ったと思いますが、明治以降の
坪内逍遥、森鴎外、夏目漱石、から始まって
安部公房や村上春樹に至るまで、少なくとも
代表作と呼ばれるものは読んでおくのが教養と
いうものでしょう。
今年もさくらんぼを食べながら
「桜桃忌」を思っています。
追記:昨年書いた文章と重複しないところを
追記します。
6月19日は桜桃忌です。
桜桃忌とは太宰治の亡くなった日です。
(実は生まれた日でもあります)
例年全国から五百人くらい集まります。
桜桃忌には太宰のお墓にさくらんぼを埋め込みます。
「子供より親が大事」(なぜそういうかは桜桃を
読んでください。本当の意味がわかります)
さくらんぼを食べます。
誰もが知っているのは「走れメロス」でしょうか。
三島由紀夫と太宰は仲が悪かったのですが
お互いに惹かれあっていたのです。
僕は両方、大好きです。
お墓の筋向かいには森林太郎(森鴎外)の墓があります。
かつて瀬戸内寂聴さんが
鴎外は有名だけど、模倣にすぎず、
ドストエフスキーやヘミングウェイなどの世界に名だたる作家と
しては太宰治くらいしかないと言っています。
僕もそう思います。
実際、美人ユーチューバーのアリシアさん(ロシア人)も
(ここに出てくる黄昏流星群はいいです。横道)
太宰治が大好きです。
桜桃忌には翻訳英語本が墓に並びます。
ぜひ、作品を読んでみてくださいね。
今は著作権が切れて青空文庫でKindleで、無料で読めます。
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