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ランドセル:さんぽセルの是非

「さんぽセル」についてのリクエストがありましたので
回答しました。


私は34年間小学校教師でした。
その間にランドセルは大きく変わりました。
昔は男子は黒、女子は赤と誰が決めたのでなく
社会的認知としてまず色が決まっていました。
今は色でいじめる子はないですね。

6年間使用するので、高学年になるとその子の今までの
使い方がランドセルにあらわれます。
入学したてのように綺麗な子もいれば、
傷だらけの子もいます。
が、流石にどこのメーカーでも6年間保証が付いているので
無償で部品交換してくれます。


どの子にとっても「思い出のランドセル」となります。
だからそのランドセルを使ってミニランドセルを作り
残す家庭もあります。


ランドセルの利点はたくさんありますので
書いたらキリがないくらいです。
教員をしていて実際、ランドセルが命を救った例を
紹介します。


健介くん(仮名)は登校途中の交差点で
横断中に右折の車がきて跳ねられてしまいました。
ボンネットにあたり、後ろに倒れたのですが、その際に
ランドセルが体を守り、衝撃を和らげて大事に至らなくて済みました。
ランドセルの背中部分にはクッションが入っているのです。


さくらさん(仮名)は下校途中の歩道で
不審者が後ろから抱きつこうとしたのでとっさに
ランドセルを振り払うと不審者は転げてしまいました。
ランドセルは合皮でしたが固かったのでパンチしたのと同じ衝撃
だったようです。
すぐに防犯ベルを鳴らして近くの家に逃げ込み、助かりました。


ランドセルは背負うことで両手が使えるという利点があり

リュックよりも背に密着していて軽いのです。


ランドセルは私が学校勤務中に大きく変わりました。
それは従来よりも大型になったのです。
ランドセルの大型化は教科書の規格が変わったからです。
B5サイズでしたがA4サイズとかなり大きくなりました。
大きくなりましたが、メーカーの努力によりランドセルそのものは
素材の開発で軽くなってきました。


教科書の重さは
前期後期に分かれていた教科書が1年分になったために
2倍になったのです。
これは何を隠そう文科省の失策です。


教科書は「無償配布」なので、配布するその日まで
空き教室や図書室などに厳重に保管されます。
その間に教科書担当が書類を作成し、担任はクラスの子供の
名簿を提出し数に間違いがないか審査します。
それを年に2回やっていたのです。
それを1回にしたことで教科書は重くなってしまったのです。


ランドセルは成長期の健康被害の原因とも指摘されていますが
昔はそんなことを言う人はありませんでした。
一言で言えば社会全体が「やわになった」と言えるでしょう。
ランドセルそのものが悪いのではありませんし
現に大人のランドセルも人気です。

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姿勢の悪化や背骨の変形、慢性的な腰痛などの原因になっていると
いわれているのはランドセル反対派の言い訳に過ぎません。
医学的根拠はありません。


両手が使える。体にフィットしているという点が
リュックやトートバッグとは全く違う最大の利点です。


さて、質問の「散歩セル」ですが、
基本的に保護者が使いたいと言えば使ってもいいとは思います。
ランドセル自体、強制している学校は少なくとも静岡市においては
ありません。ランドセルが一番機能的だとみなさんが判断していると
思うし私もそう思います。


ただこういう多様化の中では「散歩セル」にする必要はないし
それならキャリーバックでもいいでしょうね。
実際、キャリーバックで通っている子もいましたよ。

さんぽセル


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