熱中症の子どもが増えた理由に驚いた
「熱中症に気をつけましょう、こまめな水分補給を、エアコンの活用を」
昔はそんなことを言わなかったのに、いつからテレビは
視聴者に指示するようになったのでしょう。
「余震が続くので今夜は窓から離れて休みましょう。」とか
「午後からは小雨が降るかもしれないので折りたたみ傘の用意を」とか
いちいち支持するな、自分で考えるわい、と僕は言いたい。
熱中症(昔は日射病と言った)で搬送される子供が多くなったと
いうが、昔はそんなことはありませんでした。
低体温の子が増えているのは私も小学校の現場で実際に子どもたちの
体温の統計を見て思っていました。
なのでなぜ、そうなったのか、調べてみました。
ありました。
北海道大学の伊藤真次教授の論文。
「適応の仕組み」概略
人間は生まれてから3週間以内に「寒い」という体験をしないと、
低体温の傾向になってしまうというのです。
冬に生まれた人や北国で生まれた人は寒さに強いというが、
それは自然と、生後3週間以内の寒さ体験ができていたのです。
しかし現在、低体温の子がふえてきている理由は何か。
現代ではほとんどの子が、室温を25度に調整された病院で生まれ、
家に帰ってきても、25度程度 の環境で子育てが行なわれます。
その「快適な環境」が、子どもたちの発熱機能の発達の機会を奪っているのです。
たしかに25度の環境は赤ちゃんにとっても快適ですが、
生後3週間以内に、どこかで寒さの体験をさせることも必要なのです。
すると、ある若い助産師さんがこんな話をしてくれました。
「先輩の助産師さんが、生まれたばかりの赤ちゃんをそのまま寝かせておき、くちびるが紫色になったころに『よしよし』っていって布で包んであげたんで す。なぜそんなことをするのかわからなかったんですけど、寒さの体験をさせる意味があったんですね」
昔の人は理屈でなく体験からそういう方法を知り、子育ての智恵として伝えてきたのでしょう。
アメリカのインディアンは、赤ちゃんが生まれるとすぐに川につけて寒さに強い子に育てるといいます。他の国にも宗教的な「洗礼」のようなもので、生まれ た子のからだに水をたらしたりする儀式もあります。世界的にみても、そうやって元気な子を育てる智恵が、私たちには受け継がれていたのだと思えます。
熱中症は能動汗腺、つまり汗を出す腺が開かずに熱が体内にこもるので起こるのですが
汗腺は生後3歳までに汗をかく体験をしないと発達しないのです。
やはり、九州など南国生まれの人が、暑さには強かったのです。
つまり快適な環境が、発汗体験の機会を子どもから奪ってきているといえるのです。
熱中症になるとエアコンの活用を、とはなんとも皮肉なことです。
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