
堕天と覚醒 〜愛され続けた理由編〜
私は試し続けた。
愛を、男を、世界を。
どこまで壊せば、
本音が見える?
どれだけ痛めつければ、
愛が滲む?
どこまで突き落とせば、
私を必要とする?
私が堕ちるほど、
私の世界が
私を見る目は冷たくなった。
まるで、
私の醜さを映す鏡のように。
それでも私は止まらなかった。
試し続けた。
――なのに、夫は揺るがなかった。
なぜ?
なぜもっと、私に溺れない?
なぜ、
狂おしいほどに私を求めない?
なぜ、
他の男みたいに壊れてくれない?
愛は、
執着
渇望
狂気
破滅
愛されるとは、
支配すること。
いつの間にか、どこかで、
そう信じていた私にとって、
夫の静かな愛は、
何よりの 脅威 だった。
私は愛を試した。
それは、
私が 愛を信じていなかったから。
愛なんて幻想だ。
いつか消える。
だから、
消える前に
試さずにはいられなかった。
けれど、
何度試しても、
何度揺さぶっても、
夫は微動だにしなかった。
――それはなぜか?
答えは、
ずっと私の中にあった。
「現実は私の鏡」
私は愛を信じていなかった。
だから、
愛されていることも
信じられなかった。
だから、
試し続けた。
そして、
壊れなかった愛を見て、
私は知った。
愛は、狂気ではない。
愛は、支配ではない。
愛は、試されるものじゃない。
愛は――ただ、
そこに在るものだった。
愛を壊せなかったのは、
夫が愛の化身だったからじゃない。
私が、
私自身を愛していたからだ。
どんなに歪んでいても、
どんなに壊れていても、
私はこの世界の 中心だった。
私は、愛され続けた。
それは、
私が、私だったから。
それだけだった。
試すな、
確かめるな、
壊すな。
愛は、
あなたが受け入れた瞬間に、
そこに在る。