医療現場の行動経済学/大竹 文雄, 平井 啓
行動経済学の本色々読んできたけどその内容がこの本に全部ぎゅっと詰まってて
しかもすごくわかりやすかった。
ちょっと専門書的で読むの腰が重かったんだけど、こんなにわかりやすくまとまってるならもっと早く読めばよかったー。
がん治療というひとつ大きなテーマを患者、家族、医者、看護師、様々な人の行動にはどのような心理が働いているのか、そしてそれははたして有効なのかというのが検証されていた。
完全に今の話じゃんと思って面白かったのがワクチンの話、ここではHPVワクチンが広まらない理由を分析していたけど、今ならコロナワクチンにも大いに当てはまるんだろうなーと思いながら読めて面白かった。
あとは治療方針で自分の今までかけた努力に固執するサンクスコストや、現状の治療を継続したがる現状維持バイアス、また決定を先延ばしにする現在バイアスなどなど知っていることだけどこうやってひとつのテーマでまた学び直した感じで読めてよかったなー、医療っていう自分の近い分野なのも楽しめた要因だろうけど。
ナッジの研究の箇所はちょっと難解だったけどこういうことわかるようになりたいなーどういうアプローチができるのか考えれるようになれたらおもしろそうだなー。
高齢者の意思決定や生命維持治療の中止をめぐる考察は考えさせられることばかりで、自分も準備する必要があることがあることばかりだったし、あとは治療方針や現状をどのような伝え方るのかが有効かとかは一般企業でも大いに役立つと思った。
最後に、男性医師より女性医師の方が死亡率が低いことに関しては女性をめぐる社会問題を考えると今後はこの差が無くなればいいなと思ったし、こんなところにまで及んでいるこの国のジェンダーギャップはただごとではないなと気が滅入る思いだった。
そんな感じでとにかく大きなテーマに沿って様々な考え方がまとまっているので結構この本は行動経済学気になるけど読んだことない人に一冊で全部わかりやすく要点おさえられるからおすすめだな。