新しい愛車・電動アシスト自転車「バリエンテ」への乗り換えレビュー
私が長年乗ってきた愛車、パナソニックのアシスト自転車「ハリヤ」との別れが訪れた。休日の朝、いつものようにサイクリングに出かけようとした際に、異変に気づいたのだ。ペダルを漕ぎ出して少し進むと、後輪タイヤがゴツゴツと何かに当たるような違和感があり、振動が伝わってくる。タイヤに何かが刺さったのかもしれないと直感し、すぐに停止してタイヤを確認してみると、なんと一部が裂けて中のチューブが飛び出していた。このゴツゴツした感触の原因は、どうやらタイヤの損傷によるものだった。
これでは安全に乗れないと判断し、サイクリングを諦めて自転車ショップへ修理に行くことにした。いざ車に積もうとしたが、ハリヤのサイズが私のファミリーカーには少し大きくて積載できず、やむを得ず自転車を引いて行こうかとも考えた。しかし、少し距離があるため徒歩で引いていくのも現実的ではない。そこで、裂けたタイヤ部分に応急処置としてガムテープを5重に貼り付け、できるだけゆっくり走ることにした。目的地の自転車ショップまで約3kmほどの道のりを進み、途中でガムテープの破損を確認しながら何とか到着した。
到着後、タイヤとチューブの交換を依頼したが、ショップは混み合っているため2週間ほど預かりになるという。仕方なくそのまま預け、見積もりができ次第連絡してもらうことにして、帰りは散歩がてら徒歩で家に戻った。ところが5日後、ショップから電話があり、「適合するタイヤがなく、交換が出来ない」と告げられた。ハリヤのタイヤサイズは26×1.90 HE インチと比較的一般的なサイズだと思っていたが、実はパナソニックのこの型が生産中止になっているという。電話で聞いてみると、複数のメーカーに確認を取ったがどこにも在庫がなく、代替品も無いとのことだった。汎用タイヤでも構わないと伝えたが、「当店では純正タイヤ以外の交換は行っていない」との返事であった。
納得がいかないものの、私のハリヤもそろそろ寿命なのかもしれない。長年乗ってきた愛車だが、あちこちにガタが出てきていることも感じていた。ここで思い切って新しいアシスト自転車を探そうと決意し、休日に再び自転車ショップを訪れることにした。ショップで見て回ると、最近のアシスト自転車はどれも高価で驚いた。今月は車検や所有している土地の草刈り依頼、さらにはノートパソコンの購入や内視鏡によるポリープ切除と出費がかさんでいたため、予算は限られている。高価なモデルを諦め、手ごろな価格のものを探していると、あるクロスバイク風のアシスト自転車が目に留まった。
その自転車は、大日産業株式会社という、これまで聞いたことのないメーカーの「バリエンテ」というモデルだった。スタイリッシュなデザインが特徴で、価格も比較的手頃。スマートフォンで少し調べてみると、同社は1980年に設立され、資本金1000万円、年間生産台数30万台、売上高32億円と、電動アシスト自転車の分野で意外にも実績がある企業であることがわかった。特に、アシスト自転車に力を入れている会社で、中国製部品を使っている点に若干の不安を覚えつつも、見た目と価格に惹かれ、思い切って購入することにした。クレジットで支払いを済ませ、「明日受け取りに来ます」と伝え、帰宅した。
翌日、また散歩を兼ねて徒歩で自転車ショップへ向かい、バリエンテを引き取った。店員から簡単な説明を受け、まずは自宅へ戻ることにした。ハリヤとの違いで最も気になったのは、バリエンテの変速がレバー式である点だ。少し使いにくい気もしたが、これは慣れの問題だろう。いざ走り出してみると、驚いたことに、ハリヤよりも静かで乗り心地が良い。ハリヤは硬い乗り心地とガチャガチャとした音が特徴で、サスペンション入りのサドルに交換していたほどだが、バリエンテはタイヤが大きく、柔らかいため、快適な乗り心地を提供してくれる。この時点で、すでに「良い買い物をしたかもしれない」と感じ始めていた。
別の休日には、この新しい愛車でサイクリングに出かけた。目的地は隣町の地蔵群で、往復約20kmのコースを計画した。新車でのサイクリングは気分が良く、アシストの軽やかさに驚かされた。私は事前にスマホのアプリを用意しており、走行中にスピードや距離を確認しながら進んだ。途中のコンビニでアイスコーヒーを飲みながらひと息つき、このバリエンテがハリヤに比べて軽く、出足や軽い登り坂での負担が少ないと感じた。加えて、ハリヤは私の体格(175cm)には少し窮屈な印象があったが、バリエンテはサドルとハンドルの距離がちょうど良く、自然な姿勢で乗ることができるのも気に入った点だ。
サイクリングの途中、少々急な坂道に差し掛かると、バリエンテのアシスト力がやや弱いことにも気づいた。ハリヤは急勾配でもパワーアシストを使ってギアを1にすればぐいぐい登っていけたが、バリエンテは同様に設定しても登坂力がやや劣る。普通の坂道は問題なく走れるが、急な上り坂になると、ハリヤには及ばないようだ。とはいえ、降りて押せば良いだけなので、致命的な問題ではない。地蔵群に到着し、参拝を済ませた後は、帰り道に100円ショップやイオンに立ち寄って買い物も楽しんだ。
帰宅した後、改めてこのバリエンテを振り返ると、ハリヤ以上に気に入ったと実感する。静かな走行音、柔らかな乗り心地、バッテリーの持ちも申し分なく、見た目もシンプルで洗練されている。最初は無名のメーカーと中国製部品に不安を抱いたが、実際に23kmほど走ってみると、しっかりとした作りで、同社の真摯な姿勢が伝わってくるようだった。もちろん、これから乗り続ける中でどこかに不具合が出るかもしれないが、それは長年愛用してきたハリヤにも同じことが言えるだろう。このバリエンテも、これからの相棒として大切に乗っていきたい。結局のところ、新しい自転車を選んで良かったと思っている。