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【猫まど日誌】#3 棚主への道、最初の一歩


棚のテーマを決めることを決める

ほんまるの棚主になることを決め、早速申込をした。
場所は10章1節。一階の一番上の棚だ。
一番視界に入りやすいのは3、4節辺りだが、月額料金が高い。
一階で視界に入りやすい場所を考えた結果、入り口に近い棚を選んだ。
(なお、現在は30章4節にお引越しをしている)

まずこの棚選びだけで相当迷ったのだが、ここからがまた迷いどころ。
棚主を始める為には、決めなければならないものがある。

  • 屋号(棚の名前)

  • 代本版のデザイン(ほんまる独自のアイテム)

  • 棚に並べる本の選書


…まず、何から手を付ければ???


どれも必須だが、簡単に決められるものではない。
屋号・デザイン・選書は三位一体ともいえる。
自分の棚の色を出していくという意味と同義になるのだから、後々の為にも、ここはじっくりと考えていきたい。

もちろんもっと簡単に、気楽に考えてもいい。
屋号に沿ったデザインにする必要はないし、選書を表すような屋号にする必要もない。『桃の本棚』とわかりやすくしてもいいわけだ。
デザインだって桃でいい。ピンクで可愛らしいやん。
(名前の由来は果物の桃ではないけれども)

…が、自分にはそれが出来ない。
なんてたって真面目なのだ。(←言い続ける所存)

頭をこねくり回した挙句、テーマを決めることにした。
何者でもない、選書スキルもない、得意なジャンルもない自分。
ないない尽くしの自分だからこそ、テーマを決めてブランディングしていくことが必要なのではないかと思い至ったのだ。
テーマを決めることにも頭を悩ませたが、結果的にこの”テーマ決め”は功を奏した。主軸があることで、デザインや選書、その後のアイディアなども、テーマに沿って広げていくことが出来たのだ。

テーマが無ければ全て自分が好きにできる一方で、好きに出来過ぎてしまう自由さがある。選択肢が多いことで、逆に不自由になることもあれば、全体の統一性も無くなってしまう。
シェア型書店は、既にそれ自体がショッピングモールのように、多くの書店が合わさって出来ている。自分の棚なのだから、家の本棚のように好きな本を並べていくのも一つの手段なのだが、それでは他の書店との差別化が難しいだろう。
ほんまるにおいては出版社も棚オーナーになれるので、大手出版社の棚と自分の棚が並ぶという事にもなりうる。(←普通に考えてすごくない?)
そうであれば、既に出版社の棚という大型チェーン店があるのだから、個人が出す棚は独立書店として並んでいた方がいいはずだ。
…というか、単純にその方が自分は面白い。
その為にも、やはりテーマを決めることは独立系の色を出す為にも必要だ。
ちなみに、売れるかどうかは関係がない。
そもそも利益を目指して始めたわけではないのだ。(もちろん本を手に取ってくれたら嬉しいけれども)
本が好きなんだもの。自分の推し本を見て欲しいじゃないか…!!

さぁ、ではいざテーマを決めようぞ!!
…と思っても、これがまた大変だった。

選書することを前提に、自分が大好きな本や作家さん達を思い浮べてみる。
今村先生を筆頭に…たくさん。
好きな本、今村先生の全著作を筆頭に…無限。

好きなジャンルは…

  • 歴史時代

  • ファンタジー

  • 恋愛

  • SF

  • グルメ

うん。ホラーとミステリーがちょいと苦手なだけで、全部好きだ。笑
なんなら児童書も絵本も好き。画集や写真集も好き。

寧ろ好きじゃない本とかないしっ!!
苦手や合わないはあっても、本は本であるだけで素晴らしいんだ!!

って、待て待て。
それではいつまで経ってもテーマなんて決まらん。
かといって推し本も、雑食過ぎて幅が広すぎる。
『ジェノサイド』と『猫を処方いたします。』が並んでいたら情緒不安定だろ。
でも大衆食堂やレストランにしたいわけではなく、どちらかというと「夜パフェ専門店」みたいな書店にしたいんだ。
但し、自分は果物が苦手だから果物とか載らないパフェね。(←は?)
トッピングはオレオとかポッキーとかがいいなぁ~。うふふ。

…話を戻して。
テーマを決めるのは簡単ではないが、つまり自分は、どういう本屋さんにしたいのかということだ。
どんな本を置いて、どんなお客様が来て、どんな人が手に取ってくれるのか。
そして本を読んで、どんな気持ちになってくれたら嬉しいのか。

深い。これは相当に深い。
自分は何故本が好きなのか。何故本を推して、応援したいとまで思うのか。
自分自身の根源にも繋がる話だ。

でもきっと、自分固有の何かを創るということは、そういうことなのだろう。
表現したいから創る。伝えたいから創る。知って欲しいから創る。
それが生まれてくる源が、自分の背景の中にきっとあるはずだ。

では更に深みに潜ってみようではないか。
当たり前過ぎる問いの答えを探しに。
自分が初めて本と出逢った頃にまで、遡ってみよう。


自分の本歴史を振り返る

まるで就活中の自己分析だ。
そう思いながら、まずは本との出逢いから順に、ノートに書きだしてみることにした。整理にするには書くのが一番。
自分には本しかなかった時代もあれば、本から離れていた時代もある。いくつかのターニングポイントを経て、今こうして棚主をやっている。

まぁ、簡単に書けるだろう。
…と思っていたが、甘かった。

この世に生まれてから〇十数年生きているのだから色々あったのだが、書けば書くほど思い出しては、出てくる出てくる過去の記憶。
口に出すのも恥ずかしい黒歴史から、思い出すのも辛い日々のことまで。
改めて、自分は本を共に生きてきたのだと知る。
本と思い出が結びついている、と言った方がよいのだろうか。
あの時はこんな本が好きだった。この頃は本好きの友達がいた。あの人の影響で新しいジャンルを読み始めた。自分年表に本のアイコンを並べたいぐらい、人生の中に本がある。
「本は人生の栞」ともいうが、正にそれを実感した。

辛い時を支えてくれただけではなく、本を通じて出来た友達もいる。幼少期に読んだ本の影響が、今の食の好みに通じているなんてこともある。
昔大好きだった漫画を今は息子が読んでいて、同じシーンなのに全然違う感想を言っていたこともあった。
楽しい。本って、楽しい。
本から学んだことや、増えた知識も沢山あるけれど。
それよりなにより、本って楽しいんだ。だから、読んでいるんだ。

当たり前で、すごく単純な答えかもしれないけれど…。
自分にとって一番の楽しみは本。
本と出逢って楽しいという原体験をしてきた。
だから、もっと多くの人に本と出逢って欲しい。
本屋さんで本を選ぶ楽しみを知って欲しい。
本を読む楽しさを味わって欲しい。

そしてもし出来る事なら…。
自分が本と出逢って、救われたように。
幼い頃から本に触れて欲しい。
本が読めなくなった人に、また本を開いて欲しい。
本とまだ出逢ったことがない人に、本と出逢って欲しい。

なんとなく、自分のやりたいことが見えてきた。
楽しいと感じる本。本から離れていても、ふと手に取ってしまうような本。
子どもも大人も、年齢問わずに楽しめる本。
そんな本を並べることができたら…。


初めて本屋さんへ行った日のことを、今でも覚えている。
大きくて、広くて、明るい店内。
古本屋さんや、スーパーの一角にある本屋さんは行ったことはあったけれど。
一つの建物が本屋さんになっているのは初めてだった。

「ここは、遊園地だろうか…?」

本気でそう思った。
本以外にも文具や雑貨、CDなども置かれていたからそう思ったかもしれないし、その本屋さんのイメージが洋風だったからかもしれない。
でも、図書館以外で沢山の本が並んでいる光景を見るのも初めてだったのだ。
自分にとって、大好きなものが溢れている楽しい場所の代名詞が遊園地だった。
あの感動と、心躍る気持ちは忘れられない。


方向性が見えて、少しずつイメージが湧いてきた。
子どもも大人も。楽しい。ワクワク。
あぁ、そうだ。本のジャンルも、自分が昔から好きなものにしよう。
原体験に繋がるものがいい。きっとそれが、一番自分らしい。
ただそれだけだと、まだ幅が広すぎる。
もっとギュっと。夜のパフェになるまで。自分の好きを凝縮したい。

自分が好きなもの―――

そこで思い浮かんだのが、猫まどのシンボル『月』と『猫』。
ここまでくれば、あとは形にしていくだけ。

そうしてようやく、棚のテーマが決まった。

「心がワクワクする おとなもこどもも 楽しめる本を」

これを主軸に、屋号とデザインを決めて、選書をしよう。
言葉だけだとシンプルだけど、ここに至るまでの背景が自分の中にある。
表現して、伝えて、知って欲しい事がここに詰まっている。


屋号は棚の呼び方が「〇章〇節」だから小説のタイトルっぽく。
シンボルである猫を入れて、読後感を感じられるような印象に。
そしてオタクが大好きな略称。これ大事。
いい感じに略せる屋号にしようと決める。タグも付けやすい。これ大事。

デザインも不慣れながら頑張るぞと意気込んだはいいが、デザインの経験もなければセンスもない…。(相変わらず無いものだらけw)
マジで厳しいーと思いながら、参考にしようとSNSを開くが…。
アップされているのは、出版社や作家さん達のデザインばかり。


…プロの本気がここにある!!!(圧倒的敗北感)


そうか、プロと棚が並ぶかもしれないということはこういうことか…。
勝ち負けじゃないけど勝てるはずないやん。あかんて無理やて。
恥晒すだけになるんちゃうか…!?(恐怖)
泣きながら…うんうん唸りながら…夜な夜なPCと向き合ったのは個人的なお話。

ちなみにこの時点で完成しているのは、棚のテーマだけ。
行ったのは自己分析。笑

未:屋号(棚の名前)
未:代本版のデザイン(ほんまる独自のアイテム)
未:棚に並べる本の選書

道のり遠すぎない!?
他の棚主様達はどうやって決めたの!?どうやって作ったの!?
さくさく棚作りを進めていらっしゃる棚主様達を尊敬しつつ、いつの日かお話を聴いてみたいと願う桃なのでした。

棚主への道、一歩…進んだ??


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