2020/02/09 《岸辺露伴は動かない 奇譚見聞録》OVA上映ツアー 夜の部@メルパルクホール大阪
かつての同僚、友人M氏から荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』をひたすら借り続けた時期がある。そのときに第4部「ダイヤモンドは砕けない」の登場人物・漫画家の岸辺露伴(以下「露伴先生」と呼ぶ)が大好きになってしまった。
露伴先生は、作者である荒木飛呂彦氏にとっても特別なキャラクターで、本篇を離れて『岸辺露伴は動かない』というスピンオフ作品を断続的に発表している。自分の作品のためなら手段を選ばない露伴先生が、自分の見聞きした奇妙な出来事を語る。その物語はサスペンス/ホラー仕立てのエピソードが並ぶ。
今日参加したのは来月発売のOVA『岸辺露伴は動かない』を先行上映するイベント《岸辺露伴は動かない 奇譚見聞録》だ。上映作品は「#09 ザ・ラン」と「#16 懺悔室」との2本。この2作品は互いに種類の異なる狂気の物語を描いている。先に漫画で読んでストーリーを知っていても、ストーリーのおもしろさと演出のうまさとで、怖くても目が離せない。凄くおもしろかった。
『ジョジョの奇妙な冒険』本篇との整合性を勘案しながらオリジナルシーンを挿入したという話を伺い、制作スタッフの作品愛とこだわりとが強く感じられた。作品をよく知らない人でも単独の物語としておもしろく見られるけれど、よく知っているほどに、演出のうまさににんまりするのではないかと思う。そういうところを知ると、余計にこの作品が好きになる。(しかし、由花子さんではなく、億泰がタピオカミルクティを頼むとは!そういうところが好きよ、億泰!)
作品を見るだけなら来月発売のBlu-rayもしくはDVDを見ればよいし、きっと十分楽しい。でも、大画面のいい音でどっぷりと作品世界に浸れたり、櫻井孝宏さん・高橋広樹さん・内山昂輝さんから作品に参加した感想を直接聞けたりしたことが、作品との向き合い方を特別なものにしてくれたからとても嬉しい。
今回はジョジョ関連のイベントディレクター・長田宏氏の司会進行のもと、上記のように、上映後にはキャスト3人(櫻井・広樹・内山各氏)を迎えたトークイベントがあった。(上映前には、長田氏と櫻井さんとのお話があった。)
1)作品と今回のイベントに関わる話
ステージドリンクはザバスのプロテイン飲料。本格的な話が始まる前に名古屋会場で撮影された小野友樹氏(東方仗助役ではあるけれど今回は出演していない)からのビデオメッセージが流れた。見た櫻井氏曰く「茶番」の一言。ツアー中リレー形式でつないでいくそう。
#09 ザ・ラン
トレーニングジムが舞台の作品で、露伴先生がジムに通っていることが意外だという話になる。広樹さんが「ジョジョに出てる人たちって、みんなムキムキしてるじゃない? みんな陰で努力してるんだねー。俺、てっきり波紋とかで筋肉がボンってなってるんだと思ってた。鍛えてるんだねー」と言う。
挿入されたオリジナルシーンや橋本陽馬(CV.内山昂輝)の造形は作者・荒木氏との丁寧なやりとりの中で作られたとのこと。
「2人の人物がトレッドミルで走っているだけなのに、見せ方でこれだけ迫力あるものになるんだ」と驚いたことを内山さんは話した。
肉体を鍛え上げることで陽馬が徐々に狂気に蝕まれてゆくのが見どころで、演じた内山氏も、相対した櫻井さんも、印象に残ったところを詳しく話してくれた。
#16 懺悔室
広樹さん演じる「若い男」が辿った数奇な運命の懺悔を、偶然にも神父に間違えられた露伴先生が聞いてしまう話。広樹さんの演じ分けが聴きどころ。ちょっとした嗜虐心のために大きく運命が動いてゆく男の戸惑いと狡さがおもしろい。「誰一人まともな状態の人がいない」ポップコーン対決の場面がおもしろいとか、広樹さんが場面に名前をつけて「サンドイッチあげないマン」「ポップコーン時代」「懺悔聞かれちゃうマン」と呼んでいることとか、あれこれ話題に上る。驚いたのは、広樹さんがオーディションで役が決まったということ。ベテランの人でもオーディションを受けるんですね。ジョジョの登場人物がよく口にする「……じゃあないか」の言い方に戸惑った話も出た。
2)お楽しみ企画「会場内で一番ストイックな人を探せ!」
「#09 ザ・ラン」に登場する橋本陽馬にちなんで、会場内のストイックな人物を探す企画。キャスト3人が順番に「これをしていたらストイックだ」と思う事柄を挙げて、会場内から全部の項目に当てはまる人を一人探し出す。それぞれの項目は出された順番に以下の通り。
①この1週間ポテトチップスを食べていない(内山さん)
②なるべく階段を使うようにしている(広樹さん)
③ザバスしてる人(櫻井さん)
④ハーフマラソン以上を完走したことがある(内山さん)
⑤自宅の体重計は体脂肪率・骨量・筋肉量を測れる(広樹さん)
⑥公式大会で優勝したことがある(櫻井さん)
実はわたし、2度目の広樹さんの質問(体重計)までは当てはまって手を挙げ続けていたのです。この時点で会場内には3人。最後の櫻井さんの質問だけは該当せず、惜しくも最後の一人にはなれず。自分がストイックだなんて思ったことがなかったので、びっくり。意外な展開でどきどきしてしまった。
3)お楽しみ企画「ストップウォッチ25秒対決」
次の企画も「#09 ザ・ラン」にちなんだもの。作中ではトレッドミルの時速25kmに達したタイミングでストップボタンを先に押した者が勝つというゲームを、陽馬と露伴先生が行う。会場では、トレッドミルの代わりにストップウォッチと本格的なスポーツタイマーが用意されて、25秒に一番近いところでストップボタンを押した人の勝ちというゲームが行われた。単純で馬鹿馬鹿しいからこそ、むきになってしまうのはよくあることだ。広樹さんが策士ぶりを発揮したり、櫻井氏が「ヘブンズ・ドアー」を放って場を攪乱したりしたものの、3者1勝1敗の引き分けとなり、賞品「くいだおれ太郎クッズ」は3人で山分けとなった。櫻井氏はクリアファイル、広樹さんは通天閣をゲット。残りは内山氏?
最後は色々の告知とキャスト3人からの挨拶があって閉幕。とても楽しい2時間だった。
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《2020/02/10 補記01 》
キャスト3人のお召し物。
櫻井さん:ツアーTシャツ・黒いジャージのズボン・黒い靴。めがね。
広樹さん:ツアーTシャツ・黒いカーディガン・黒いガウチョパンツ。ツアーグッズの帽子。靴が金色で輝いていました!
内山さん:ツアーTシャツ・白地に黒のチェックシャツ(オーバーサイズ)・細身のジーンズ。
《2020/02/10 補記02》
櫻井さんと広樹さんが同い年。知りませんでした。へー。
《2020/02/10 補記03》
ステージドリンクのザバスを飲む際、内山氏はストローを口でくわえて引っ張り出していました。ファンの人には萌えどころだったでしょうね。
《2020/02/16 補記04》
内山氏の名前は「昴輝」ではなく「昂輝」。本文訂正しました。
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