変化に煽られるよりも、変化を自ら起こす
昨日の記事とも大いに関係する話。
私自身は転職を5回既に経験しており、
一社当たりの平均勤続年数は4年と
少々といったところ。
ただ、「転職」というよりも「転社」
の感覚に近く、職業はマーケターと
して一貫性を保ってきた。
段々私のような転職、転社が普通の
ことになりつつある昨今であるが、
10年前、20年前を思い起こせば、
転職に対する社会の風当たりがまだ
まだ強かったように記憶している。
まだ社会人になるかならないかの頃、
つまり20歳そこそこの頃のこと。
私には80代の「友人」がいた。
ひょんなことからお知り合いとなり、
ご自宅にも二度ほどお邪魔した位
親しくしていただいた。
「仙人」を思わせる、豊かな白い
あごひげがトレードマークの方で
あった。
彼の最終的な職歴は、大学の先生。
しかし、それは最後の10年で、
それまでの社会人人生をピッタリ
10年単位で変化させてきたのだと
聞かされた。
具体的な会社名などは覚えていない
が、カメラメーカーなどに勤め、
趣味もカメラだった。
ライカのカメラが大好きで、個人で
珍しい型の収集もされていたように
記憶している。
ご自身のポリシーで、10年単位で
職を変えた。
「飽きてしまったのですか?」
と聞いたことがある。
いや、飽きではない。
自分なりに、10年経ったらまた
新しいことをやると決めたんだ。
そんな答えだったように記憶して
いる。
10年と決めて、一生懸命にその
仕事を極める。
10年経ったら、きれいさっぱり
辞めてしまい、次の道へ。
本心がどこにあったのか、
一体何を目指していたのか、
今一つその時は理解できなかった
し、今もまだ理解していない。
それでも、何となく分かることが
ある。
彼は、何か外からの脅威に煽られて
変化させられるくらいなら、
自らが先に変化してしまえ、
そんなことを考えていたのでは
ないか。
今の仕事がイヤだから、
目の前の苦痛から逃げ出したいから、
そんな気持ちで転職していたら、
当然ながらうまく行かない。
しかし、今の仕事よりももっと大きな
仕事がしたいから、
社会を、世界を変えられるチャンス
だと思ったから、
そんな大望、野望を伴う転職ならば、
誰もが応援したくなるだろう。
10年という周期で、次々と新しい
ことにチャレンジしては、着実に
マスターしていく。
そんな生き方が、しっくりときて
いた私の「友人」。
80歳を越えてなお、かくしゃくとして
お元気だった姿を思い出す。
なぜかふと、彼の生き方が、私の
「記憶のヒダ」に残っていたことに
気がついた夏の日であった。