「1,000㎎配合!」の訴求
「C1000タケダ」という商品を
覚えていらっしゃるでしょうか。
ビタミンCが1,000㎎配合されて
いるから「C1000」という、
何とも潔い名前の付け方です。
武田薬品の手によるものだから
「タケダ」という名前が後に付く
ということも、「C1000」同様に
潔さが感じられますよね。
もう1年位前のことです。
家人から「C1000タケダ」の買物を
頼まれました。
そこで、スーパーの店頭で商品を
あちこち探したわけですが、
その際に気付いたのです。
「C1000タケダ」など存在しないと
いうことを。
店頭には「C1000」という名前の
商品はありましたが、名前の後ろに
あるべき「タケダ」がないのです。
でも、「C1000」のロゴは、
どうも見慣れたロゴと同一だと
思わなくもありません。
仕方がない、店頭でコソコソと
スマホでググりました。
すると、公式ブランドサイトで、
「C1000」の歴史を分かりやすく
説明してくれており、私が探して
いた「C1000タケダ」は、今は
「C1000」の名前に変わっていた
ことを確認したわけです。
これによれば、2007年に
「新ブランドとしてのスタート」
とありますので、この年に名前から
「タケダ」が取れたのでしょう。
つまり、武田薬品からハウス食品の
グループへと販売権が移ったという
ことが推察されます。
今日取り上げようと思ったのは、
このブランドの販売権の話ではなく、
「1000」という数字の方でした。
この「1000」が何を意味しているかは
ほとんどの人がお分かりになるのでは
ないでしょうか?
ビタミンCの含有量をストレートに
商品名の中に組み込んでいる、
というのが正解ですね。
ちなみに、その単位は何かというと、
冒頭で既にお示ししてしまいましたが、
「㎎(ミリグラム)」です。
「1,000㎎」というのは、単位換算すると
「1g」にほかなりません。
しかし、
「ビタミンCが1g配合!」とするのと、
「ビタミンCが1,000㎎配合!」とでは、
消費者がどちらをより評価するか、
容易にお分かりになることでしょう。
圧倒的に、たくさん配合されている感の
出ている後者が支持されるわけですね。
この「1,000㎎」訴求、実はタケダは
よそ様からパクったに違いないと
踏んでいます。
「ファイトー!」
「イッパーツ!」
でおなじみの『リポビタンD』。
このCMに出てくるフレーズを、
皆さんも覚えていらっしゃるのでは
ないでしょうか。
そう、「タウリン1,000㎎配合」です。
これもまた、「タウリン1g配合」と
比較したらどう思うか、
自分に問いかけてみたら、
答えは自ずと出てくるでしょう。
なお、ビタミンCにせよタウリンにせよ、
1日あたりの推奨摂取量がどれ位か、
お分かりになりますか?
ビタミンCについては、15歳以上の
成人に付き、1日100㎎以上が厚労省に
よって推奨されているようです。
上限は、データが不十分で検証しきれず、
明確には定められていないようでした。
タウリンについては、一般的に推奨量が
500㎎~2,000㎎程度とされていて、
上限も特に定めはないとのこと。
ビタミンCやタウリンといった
有効成分を、たったの「1g」ほど
摂取するために、糖分をはじめ
他の栄養成分もかなりの程度摂取
することになりますよね。
しかも、そのたった「1g」で、
所要量を補うにとどまらず、
余りがたくさん出てしまうという
わけです。
「1,000㎎配合!」の訴求で、
「何だかたくさん入ってる!」と
見せるマジックをかけようとして
いるのだということは、頭の中に
入れておいて損はないでしょう。