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「コンビニ」のあるべき姿を貫く

セブン&アイホールディングス
元会長である鈴木敏文さんは、
セブンイレブンを立ち上げて
圧倒的な強さのチェーンを築いた
カリスマ経営者です。

そのセブンイレブンには、
ほとんどの店舗でATMが設置されて
いるのは、皆さんご存知の通り。

今やあるのが当たり前の
「セブン銀行」ですが、
社内でプロジェクトチームが
立ち上がった当初は、懐疑的な
声が大多数だったそうです。

どんな声だったのかというと、

なぜ小売店が銀行をやらなくてはならないのか?

せっかく事業として上手くいって
いるのだから、余計なことをして
仕事を増やす必要などない!
とでも言わんばかり
だった様子。

そんな声に押されて、プロジェクトが
なかなか思うように進まず、参加して
いたメンバーも疲弊しきってしまった

そんな時期があったようです。

そんな折に、鈴木さんはメンバーに
対してどんな声を掛けたのか?

彼は、「顧客ニーズ」を強調したのだ
そうです。

「顧客ニーズに応えて、店舗では香典袋を販売しているのに、その袋の中に入れる現金が店舗では用意できていない。セブン・イレブンが顧客の生活にとって便利なものが揃う店である以上、お金も商品の一つだと説いた」

『変わる力』 鈴木敏文

「コンビニ」という業態の名前は、
「コンビニエンスストア」ですから、
そのまま直訳すれば「便利なお店」
ほかなりません。

お客様は、便利だから多少高くても
買ってくれます。
便利だから、何かと立ち寄ってくれて、
生活の「インフラ」的な位置付け
なっている人も少なくないでしょう。

何でも一ヶ所で揃って便利、
いつでも開いていて便利、
どこにでもあって便利、
その利便性こそが業態としての強み
ある以上、鈴木さんが例示したように
「香典袋を販売するなら現金も」
置いておくべきというのは
非常に理に適った話ですよね。

顧客ニーズの重要性をメンバーに
語りかけ、彼らのモチベーションに
火をつけた
鈴木さんのカリスマぶりに
思わずしびれるエピソードでした。

ご承知の通り、そのプロジェクトは
後にしっかり息を吹き返して、
「アイワイバンク銀行」
として2001年に産声を上げました。

お客様の不便を見つけ、
それらを解決するために試行錯誤し、
一つひとつ「便利」のレパートリーを
増やしてきた
セブンイレブン。

「コンビニ」のあるべき姿を明確に
頭の中に思い描き、着実に商品を
拡充させてきたセブンイレブンの
強さの源泉は、やはり鈴木さんに
負うところが大きかったのでしょう。

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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。