ザクとうふの哲学
先日、引き売りの豆腐屋さん、
あこさんのことを紹介した。
直後に、彼女のストーリーが舞台化
されるという話が飛び込んで来て、
彼女の純粋な想いや、お客さまとの
心触れ合うエピソードがより多くの
人の目に触れると思うと嬉しい
気持ちになった。
そんな私ではあるが、我が家の
近所でラッパの音を聞くことは
残念ながらないため、もっぱら
スーパーや生協で豆腐を買う
ことになる。
いつも行くスーパーの棚にどんな
商品が並び、どんな差別化要素で
戦っていて、価格帯がどの程度か
ということは、概ね把握している。
これは、豆腐に限らず、買い物を
する商品カテゴリーについては
ほぼ網羅的、定点観測的に見る癖
がついていて、半ば職業病に近い
とも言える。
限らないのだが、
ひと頃、「男前豆腐」というのが
流行った。
「男」と大書されたパッケージ、
「水もしたたるいい豆腐」という
シャレの効いたコピー、
大豆の甘味、旨味がしっかりと
楽しめる味わい。
味という「基本」がしっかりして
いながら、そこに優れた販促が
乗ることで、ヒットした好例だと
思う。
「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」
という商品も、同じ男前豆腐店の
作品だ。
最近では、「ケンちゃん」という
名前の豆腐をよく見かける。
男前豆腐店が市場を席巻した後に
出て来たのが、相模屋である。
ひとり鍋シリーズ
BEYOND TOFU
おかずやっこシリーズ
などの人気商品を矢継ぎ早に開発
投入し、豆腐市場におけるシェア
を圧倒的なものとしている。
この相模屋、最初にその名前を
有名にしたのは、
「ザクとうふ」
を投入したときであろう。
そう、あのガンダムに登場する
量産型モビルスーツ、ザクの
顔の部分を豆腐の容器に採用
するという快挙?暴挙?に出た
商品だ。
そのザクとうふが帰ってきた!
ということで、スーパーで
「激写」したのが冒頭の写真
なのである。
ザクとうふを作った経緯を含め、
相模屋の社長がどんな思いで
会社を経営し、商品開発を進め
ているかを著した本がある。
つい最近だと思っていたが、
いつの間にか出版後6年も経過
していた。
鳥越さんは、元々豆腐屋さんでは
なく、奥様のご実家を継ぐ形で
業界に入った方。
だからこそ、なのかもしれないが、
業界の常識をガンガン打ち破り、
果敢に設備投資を重ねて、あれよ
あれよと業績を拡大していった。
自分とほぼ同じ年齢の経営者だけ
に、とても良い刺激を受けた記憶
がある。
話題になった初代から、随分と
間を空けて登場した今回の
「ザクとうふ改」。
豆腐の世界により多くのお客様
を呼び込む、文字通りの
「切り込み隊長」として、
また大きな役割を果たすのだろう。