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偉大なるルーティン
「ルーティン」と聞くと、
何を思い浮かべるだろうか?
いわゆる「ルーティンワーク」、
ともすると「つまらない」という
ニュアンスを含む、定型の業務や
雑務を思い浮かべるかもしれない。
他方で、イチローで有名になった
ような、安定して高い水準での
実力を発揮できるようにすべく、
決まりきった手順に沿って行う
一連の動作を思い浮かべる人も
多いだろう。
いずれも、「決まった型がある」
という意味では同じだが、
後者の方がポジティブな色合いが
断然濃い。
このポジティブな色合いでの
ルーティンの、とても素敵な
一例を目にした。
久しぶりに乗った飛行機で、
JALの機内誌『SKYWARD』を手に
取った折に、世界的に活躍されて
いる気鋭のジャズピアニスト、
上原ひろみさんのインタビューが
載っており、彼女のライブ前の
ルーティンが紹介されていたので
ある。
ピアノへの挨拶です。88鍵全てによろしくお願いしますって気持ちを込めながらウォーミングアップをします。
良い会場で良い音楽家に弾かれているピアノは良い音がする。そんなピアノからは『お前は私を弾くのに値するのか』と聴こえてくることも
イチローのルーティンの徹底ぶりは
既に万人の知るところだろう。
あの、バッターボックスに入る前と
入った後の、一貫した挙動だけで
なく、日常生活でどのタイミングに
何を食べるかといったところまで
こと細かに決めているのは有名な話。
上原さんが、そこまでルーティンを
徹底しているかどうかまでは、
記事からは分からない。
しかしながら、ライブ前のルーティンを
通じて、ピアノとバーチャルな対話を
しているというエピソードが、
世界のトップで活躍する彼女ならではの
ものではないかと感じ入った。
最近、同時並行で追いかける仕事が
多くて、ついどれもこれも中途半端に
なってしまい、強いストレスを感じて
いる状況にある。
集中して一つひとつ着実に片付け、
中途半端な状況を打開しなければ
ならないわけだが、この集中力を
発揮するのに、ルーティンを活用
すべきなのだろう。
自分が集中して仕事をこなすことが
できる条件を客観的に捉え、
その状況をもたらすためにはどんな
一連の挙動を行うように設定すれば
良いのかを考えて、そして実際に
やってみる。
「忙しい」は「心を亡くす」と書く、
などという言い古された表現を今さら
持ち出すまでもなく、「忙しい」と
いう気持ちに追い込まれるのは、
著しく生産性を棄損するもの。
私の場合は、頭に血が上っている
状況を、深呼吸でグッと下に沈める
のがまず第一歩として有効だと把握
している。
これに、更に何か有効となりそうな
ものを組み合わせて、
「偉大なるルーティン」を確立できる
よう、試行錯誤を続けるほかあるまい。
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