「DEATH丼」の半端ないインパクト
TVドラマ『半沢直樹』の最新の
シリーズで出てきた、
「 お し ま い DEATH! 」
という香川照之のセリフを聞いて、
なかなかうまいこと言うなぁ、
インパクトあるなぁ、と感心した
覚えがある。
「DEATH」とは、直訳すれば「死」。
物騒な言葉である。
その分、人の注目を奪う力がある。
この言葉を、販促で効果的に用いた
こんな事例が展開されているのを
ご存知だろうか。
「死」ぬほどうまいから、「DEATH」丼。
その言葉のおどろおどろしさを、
文字の装飾にもきっちり反映させていて
面白い。
JA全農が広告主、企画は電通が請け負った
もののようだが、このシズル感の半端なさに
やられた人も多いのではなかろうか。
「シズル」「Sizzle」というのは、
元々英語で肉が「ジュージュー」と焼ける
擬音表現である。
つまりは、調理している、あるいはした後
すぐの臨場感、リアル感を伝える言葉。
更に転じて、美味しそうな感じ、
味わいたくなる感じを意味する。
シズル感を表現するにあたり、
ビジュアルはメチャクチャ大事である。
真っ黒な背景に、ものすごいボリュームで
これでもか!と美味そうな食材を丼に
盛り付けた「DEATH丼」の数々は、
「映え」ていることこの上ない。
更には、ネーミングも秀逸である。
「DEATH」と名付けている時点で、
完全に振り切っているわけだが、
個別の丼の名称もまた振り切り加減が
半端ない。
尿酸値に降り注ぐ 卵の流星群!最狂・卵かけのDEATH丼
痛風まっしぐら!
旨みの強い魚卵系の食材が、
ここまでたっぷり乗っている丼と
いうのは、危険極まりない分、
魅惑的なことこの上ない。
その危険性と魅力の融合を、丼名で
果敢に表現することに成功している。
CAN’T STOP RICE!うなダレ滴る二色うなぎのDEATH丼
全農がこのキャンペーンを張っているのは、
お米=ご飯の消費を増やしたいため。
うなぎのたれというのは、それをかけるだけで
何杯でもご飯を食べられる危険さを持つ。
もちろん、本命のうなぎもドドーン!
巨大なう巻きにも目を見張る。
「ご飯が止まらない!」正にその通り。
とろけて無限昇天!超厚切り豚バラ肉と半熟卵のDEATH丼
これまた体に悪そうながら、メチャクチャ
食べてみたくなる丼である。
それにしても、
「とろけて」+「無限」+「昇天」
というキャッチーな言葉の羅列が、
唾液の分泌をいやがうえにも促す。
こちらのキャンペーンは、昨年の10月末に
始まったが、相当反響を呼んだらしく、
すぐに「ラスボス」と称して新しい丼を
追加するなどしている。
米は、長い間日本人の主食として親しまれ、
愛されてきた。
戦後になって和食が少しずつ洋食に代替され、
お米の消費が年々減っているのは、
寂しい限りである。
食料自給率が低いのに、減反政策が長らく
続くなど、何かがおかしい食糧管理行政。
この辺あまり詳しくはないので、余計な
ことは言わないでおくが、とにかくお米の
消費量をもっと増やしていくことが、
日本の生産者にとっても消費者にとっても
大切なことだと思わざるを得ない。
北野幸伯さんという国際関係アナリストの
方が、完全米飯給食をやれば、一石二鳥の
解決策になることを、随分前から提唱
されている。
まずは、この「DEATH丼」が、お米の消費に
火をつけるきっかけとして機能することを
期待したい。