セコム、してますか?
東名高速道路の脇に、セコムの支社が
建っていた。
そのビルにでかでかと、
あの有名なキャッチコピーが躍る。
通称「OOH」(Out Of Home)と
呼ばれる屋外広告。
私はこれまであまり縁がなかったが、
昔からある非常にクラシックな広告
媒体である。
新宿駅とか渋谷駅のような
巨大ターミナル駅や繁華街では、
ビルの壁面などが大きな価値を持つ。
より多くの人の興味・関心を引き付け
やすい場所ゆえに、出稿する際の
お値段も高くなる。
それに比べて、セコムの上記広告は、
恐らくは自社ビル。
広告を載せようが何をしようが、
基本的には制作費のみで足りるはず。
広告出稿費用を余計に払うことなく、
ずっとお客様に向けて広告を露出
し続けることが可能だ。
大抵のオフィスビルは、
せいぜい社名のロゴがあるのみ。
自社の広告をこんなにでかでかと
掲げているところは、そうそうは
見かけない。
しかし、こんなに合理的な出稿方法も
ないわけで、流石はセコムと感心した
のである。
そして、それより何より、改めて
感心したのは、このキャッチコピーの
秀逸さである。
以前に、キャッチコピーのことを
このnoteでも書かせてもらったが、
「セコム、してますか?」も
殿堂入りさせておくべきだったと
思うほど。
何がそんなに良いのか?
まずはこの短さである。
読点と?を入れてもトータル10文字。
漢字を全く使っておらず、間違いなく
幅広い年齢層の人が読める。
「KISSの法則」という、
「Keep It Simple, Stupid!!」
(シンプルにしろ!この馬鹿者めが!」
の頭文字を取った教えがあり、
キャッチコピーはとにかくシンプルに、
短くしなさい!というのが定説と
なっている。
続いて、疑問形で終わっている点。
広告を受け取る側は、疑問を投げかけ
られると、半ば自動的に答えを探そう
とする。
その「半自動的なひと手間」がかかる
ことにより、受け手の脳に少なからず
痕跡を残すことができる。
そして更に、「セコムする」という
唯一無二の動詞を作ってしまった
という点。
ホームセキュリティという、
これまでに存在しなかった市場を
創出した、業界のパイオニアだから
こそできる技。
そのメリットを完璧に活かしている、
そんな評価が可能ではなかろうか。
週末のランニング時、走っている足を
止めて、思わず写真を撮ってしまった
このコピー。
そういえば、長嶋茂雄さんのCMが
よく流れていたなぁ、そんなことも
懐かしく思い出したのであった。