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デマの心理学

昨今のコロナウイルス蔓延に伴い、
世の中には様々なデマが飛び交った。
そして、今も新たなデマが日々生まれ、
TwitterやFacebookのようなSNSを中心に
広がりを見せている。

これに関して、『広報会議』の記事で
非常に興味深い内容が書かれていた。
筆者は、田代光輝さんという
慶應義塾大学政策・メディア研究科の
准教授。

1952年、つまり約70年も前に書かれた
『デマの心理学』
という本の中にあるらしい、公式を
紹介していただが、これが非常に
興味深い。

引用すると、

デマの流布量(R)は
重要度(I)と曖昧さ(A)の積に
比例する

というもの。

当時、伝染病についてのデマがかなり
広がってしまったらしく、その理由
として、政府の信頼度が低かったが
ために、情報の「曖昧さ」が下がら
なかったのが原因だ、と著者の
オルポートが分析をしているという。

そして、今回のコロナウイルス騒ぎ
でも構造は同様だ。
コロナも同じく伝染病で、かかって
しまったら一大事、極めて「重要度」
の高い話である。
となると、デマの流布量は、
「曖昧さ」が高いかどうかによって
かなり影響される、ということに
なるわけだ。

例えば、このnoteでも度々書かせて
もらったトイレットペーパーに
関するデマ。
例えばコレ。

製紙会社も、メディアも、しまいには
安倍首相まで出て来て、在庫はある
から買い溜めしないようにと呼びかけ
たにも関わらず、しばらく店頭欠品
が続いた。
これは、「店頭から消えるかも!」
というデマを初期に信じた人たちが
一部買い占めに走った結果、店舗に
よっては実際に欠品を起こし、
「実際のところ、なくなってしまう
可能性は十分にあるのでは?」
という曖昧な不安を、初期の頃の
報道やクチコミだけでは十分に
打ち消すことができなかったという
ことなのだろう。

なるほど、確かに「曖昧」な情報に
接すると、不安定な気持ちに陥る。
その不安定さを紛らわしたり、
誰かに「安定」にしてもらいたくて、
つい他の人に話してしまうという
心理は、ほぼ万人に共通するのでは
なかろうか。

この、デマの心理に関する公式は、
非常にシンプルでありながら、
人に心理を的確に捉えており、
美しさを感じる。
ただ、相手が「デマ」なので、
美しさを感じることに変な背徳感
というか、違和感も感じざるを
得ないのが正直なところ。

何事も、シンプルに分解することが
できると、一気に理解が進む。
ビジネスにおいても、目標に置く
数字を美しく分解することが
できると、やるべきことが明確に
見えてきたりする。
よくある話で恐縮だが、売上を
分解すると、客数と客単価の積
となる。
客数は、新客とリピート客の和。
客単価は、買い上げ点数と商品の
平均単価の積。
という具合に分解をしていって、
自分たちがコントロールできる
要素を見つけ、そこに注力して
いけばよい。

デマの話から少し逸れたが、
この辺の話は追々ちゃんと
書き残すようにしたい。

話を戻して結論めいたことを
言うとすれば、情報に曖昧さが
残るときはデマが拡散しがちだ
ということを肝に銘じておき、
デマを拡散する側に加わらない
ようにできるだけ注意するのが
大人のたしなみだ、そんなことを
思った次第。

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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。