I-ne独自のブランド開発モデル

「I-ne」という会社はご存知だろうか?
きっと、「BOTANIST」というブランド名
の方が人口に膾炙しているだろう。
そう、「BOTANIST」をはじめとする
ビューティーケアのブランドを取り扱う
会社の名前である。
読み方は、当初「いーね」と読ませていた
ように記憶しているのだが、現在は
「アイエヌイー」と読ませる様子。

昨年の9月25日に、東証マザーズに上場
したのをご記憶の方もいるかもしれない。

社長の大西さんは、学生時代に起業して
アパレル通販を開始。
その後、美容のモバイル通販へと徐々に
軸足を移していった。
その折に、I-ne成功の源流となるビジネス
モデルを築いていったそうだ。

そのモデルというのが、簡単に言えば
「ネットで流行らせたものを店頭で売る」
というもの。 
いわゆる「OMO*」のハシリだったと
言えるかもしれない。

*Online Merges with Offline:オンラインと
オフラインの融合。両者の垣根を超えて、
顧客体験(CX=Customer eXperience)の
最適化を目指し、オンとオフの境目が分け目
なく溶け合っている状態。

このモデルを、より精緻にして、
ヒットするブランドを継続的に開発する
ために活用を進めているのが、
「IPTOS」というモデルだという。
これは、以下の頭文字をつなげた名前だ。

Idea:アイデア発掘
Plan:プランニング
Test:テスト販売
Online/Offline:販売並びにコミュニケーションチャネルの設計
Scale:本格導入

通常の商品開発と、何か異なるところが
あるのだろうか。

まず最初にアイデア出し(Idea)を行い、
次に計画(Plan)を立てるところは、
至って普通だろう。
そして、一気に畳みかけるのではなく、
まずは小さな規模でのテスト(Test)
からやるというのも、中小規模の企業
のみならず、今や大企業ですらテスト
マーケティングを重視しないところは
ないゆえ、大して新しさはない。

やはりユニークなのは、4つ目の段階に
「Online/Offline」
というのを持って来ているところだ。
ネット上でどのように流行らせるか、
その後に店頭との相乗効果をどのように
生みだしていくか、徹底的に検討するの
だろう。
「OMOの設計」と言い換えられるかも
しれない。
人々のクチコミが、ネット上で十分に
盛り上がるように仕込み、その流行を
うまく活用する形で店頭でも露出を
最大化する。

最後の「Scale」というのは、上記の
OMOの展開で機が熟すのを見逃さずに
一気に本格展開することを指すのだと
思われる。

ヘアケア市場において確固たる地位を
築いたと言ってよい、「BOTANIST」の
ブランドを育ててきた I-ne 社。
何と、ヘアケアブランドとして、今や
国内3位のシェアを誇るというから驚き
である。

上場の次に狙うは、1000億円の売上と、
グローバルメーカー並みの15%の利益率。
日本初のメーカーが、グローバルで活躍
するのを見るのは嬉しいことだ。
I-ne 社のチャレンジを興味深く見守って
いきたい。



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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。