『経営者の条件』に学ぶセルフマネジメントのエッセンス
ドラッカーの名著、『経営者の条件』。
この本には、セルフマネジメントの要諦が
書かれている。
対象とする主な読者層は、企業経営者
なのだろうが、ビジネスパーソンなら
誰もが学ぶべき叡智が詰まっており、
企業経営者だけに読ませておくのは、
とても勿体ない。
人は誰しも、自分の人生の経営者である
以上、セルフマネジメントを学んでおく
に越したことはないのである。
ドラッカーの日本における分身、
故・上田惇生先生も、この本を
「万人のための帝王学」
であるとおっしゃっていたという。
昨日、この『経営者の条件』を、かの
大ベストセラー『もしドラ』になぞらえて
小説化した、吉田麻子女史の特別講演を
拝聴する機会に恵まれた。
ドラッカー本は、中身は非常に濃いが、
確かに一般的には取っ付きにくい部類に
入ることは間違いない。
小説という形式、ストーリーで語る形式
を採ることで、ドラッカーの言わんと
することがより裾野広く伝わっていく
ならば、とても望ましいことだ。
昨日の講演では、吉田女史がドラッカーの
セルフマネジメントの要諦を、改めて
コンパクトにまとめ、解説をしてくれた。
以下の5点が、その要諦である。
(私の解釈、視点も若干加えているので、
文責はあくまで私にある。)
⓵汝の時間を知れ
自分がどんなことにどれくらいの時間を
使っているか、まずはその使い方を知る
ことから始めよ、そうドラッカーは説く。
「記憶は当てにならない、記録せよ」
この言葉は、50歳を目前にして日々益々
実感の強まっているところ。
記録を元に、非生産的な活動を排除し、
本当に大切なことに使える「まとまった」
時間を確保することが大切だ。
➁どのような貢献ができるか
組織の成果につながらなければ、何を
やってもムダな仕事になりかねない。
自分自身が、どのような貢献をなす
ことができるのかを、常に自分に問い
続けなければならない。
➂人の強みを活かす
成果を上げるには、人の強みを活かす
ことである。
弱みをチャラにすることに力を注いでも、
成果にはつながらない。
それよりも、強みを更に伸ばすことの
方が、やっている本人も楽しいし、
実際に成果につながる。
⓸最も重要なことに集中せよ
ドラッカーのこの言葉を聞く度に、
『7つの習慣』に出て来る、重要度と
緊急度のマトリックスのことを、
同時に思い出す。
緊急な仕事に振り回されないよう、
重要度の高い仕事に集中して取り組み、
緊急な仕事がそもそも発生しない、
しても少なく済ませるように段取りを
付けなければならない。
⓹成果の上がる意思決定をする
意思決定こそが未来を創る。
惰性で行動を続けていても、未来は
変わらない。
意思決定を行い、それに基づいて行動を
起こして初めて、未来が変わっていく。
責任重大だが、だからこそ遣り甲斐が
あるのだと考える。
赤本にせよ、小説仕立ての方にせよ、
より多くの人がドラッカー流のセルフ
マネジメントを通じて自分らしさを発動し、
それがより素晴らしい社会の構築へと
つながっていって欲しい。
吉田さんが、最後の締めくくりに、
そのような趣旨のことを述べていらして、
心の底から同意したのであった。
誰もがイキイキと自分自身を活かし、
活躍する社会の創造に向けて、
私自身も貢献したい。