見出し画像

地味だが日本にとって欠かせない果物

四回目となる、竹下大学さんの新著
『日本の果物はすごい』のご紹介。
マーケティング的に興味深い話
ピックアップして紹介するシリーズ、
今回は第2章カキについて取り上げて
みたいと思います。

第2章の副題が、

いにしえより日本人と苦楽を共にしてきた果樹

とあるのですが、その理由が本書の
中でつまびらかにされています。

実は渋柿の歴史が圧倒的に長く、
甘柿の歴史は新しいこと、
渋柿を干柿にすることで糖度が
60%にものぼり、甘柿を干柿に
するよりも断然甘くなること、
渋柿から採れる柿渋が、防水・撥水、
防虫・防腐効果などを発揮して、
マルチに活躍してきたこと、、、

知らないウンチクがとにかく山ほど、
そしてカキからそれだけの効用を
引き出して来た日本人のカキとの
向き合い方
に、感動すら覚えます。

カキほど役に立つ果樹はほかにない

『日本の果物はすごい』72頁

と竹下さんが言い切るのも納得の
役立ちっぷりなのですよね。

このカキの章で、個人的に気になった
エピソードが2つほどありました。

1つは、「cafe こもれび」という
奈良の山奥にある柿農家が経営する
カフェ
の話です。

五條・吉野地域で中堅クラスの大きさ
という「柳澤果樹園」の3代目、
柳澤佳孝さんの経営改革ストーリー
が、
非常にコンパクトにまとめられて
紹介されていました。

幼い頃から、
「果樹園から眺める景色が大好きだった」
という柳澤さんが、カフェに続いて
1日1組限定のグランピング施設
園内の一番高いところに建てて、
屋上から360度絶景を見渡せる露天風呂を
宿泊客に提供し始めました。

最初は口コミで人気がジワジワ広がり、
2014年には『日経レストラン』
「あの悪立地に、どうして人が集まるのか?」
という特集で取り上げられて人気に火が
点いたそうです。

自分の子どもの頃からの夢を、
手持ちの資源をフル活用して叶えた
柳澤さんのストーリーを、
もっと詳しく知りたい!
そう感じさせる内容でした。

是非、果樹園のホームページを一度
覗いてみてください。


もう一つ気になったエピソード、
それは、第2章の最後に出て来た
「柿の種」の由来に関して。

以前に、元祖柿の種を発売している
浪花屋さんについて、このnoteで
取り上げたことがありました。

柿の種の半月形は、たまたま金型を
踏んづけて曲がってしまった偶然
から
生まれたというエピソードを、ここで
ご紹介したのですが、実はこのとき
少々モヤモヤしていました。

というのも、自分が知る果物のカキの
種は、半月形などしておらず、もっと
丸っこいイメージしかなかったから。

その背景を、竹下さんがサクッと説明
してくれていて、モヤモヤがスッキリ
解消したのです。

要は、ひと口に「カキ」と言っても
相当な数の種類が現存しており、
一部のカキには半月形の種を有する
ものもある
、ということなのでした。

柿の種のモデルは、新潟県の在来種「大河津おおこうづだと伝えられている。

『日本の果物はすごい』108頁

こんな具合に、目くるめく果物の世界に、
とにかく次から次へと読者をいざな
この本、1,100円ではあまりにコスパが
良すぎ
る、と言えるでしょう。
秋の夜長のおともに、是非とも読んで
みてください。



いいなと思ったら応援しよう!

ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。