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戦争用語への違和感
「お得なキャンペーン、実施中!」
「発売5周年キャンペーン!」
みたいな形で、「キャンペーン」と
いう言葉を頻繁に聞く。
そのニュアンスを、あえて日本語で
言い換えるとするならば、
「祭り」
が近いだろうか。
「セール」
の方が近いかもしれないが、
それだと日本語への置き換えに
ならない。
そもそも、
「Campaign」
「キャンペーン」
という言葉の意味は何かというと、
「軍事作戦」
であることを知っている人は
どの程度いるだろうか?
かなり少ないのではないかと
推測する。
戦争用語は、ビジネスの世界や、
マーケティングの世界に、
頻繁に持ち込まれている。
その最たるものは
「戦略」
「戦術」
だろう。
「戦」の文字があるので、
それが戦争用語であることが
殊の外分かりやすい。
マーケティングでは、
「ターゲット」
という言葉をよく使うが、
これも「標的」であり、
バリバリの戦争用語だと
言ってよいだろう。
どんなお客様を対象にして
マーケティング活動を展開するかを
考えるにあたり、
「顧客ターゲットは誰にするか?」
というような表現を用いる。
ビジネスの世界は、
真剣勝負の世界。
お客様に選び続けてもらい、
利益を出し続けなければ、
市場から退場することを
余儀なくされる。
マーケティングは、
そのビジネスの世界において、
いかにお客様からの支持を得て、
そしてずっと支持を継続・維持
させられるかの「仕組み」を
つくりあげること。
ビジネスにせよ、
マーケティングにせよ、
戦争同様「食うか食われるか」
の厳しい世界である。
だからこそ、
戦争用語が用いられるのが
ピタッとはまりやすいので
あろう。
しかしながら、
ビジネスはまだしも、
マーケティングの文脈においては
戦争用語を使うことに今一つ
なじめないことも多い。
特に、先に挙げた「ターゲット」は、
お客様のことを、弾を当てる「的」に
たとえて表現しているわけで、
あまり気持ちの良い比喩ではない
という思いが強い。
既に人口に膾炙しているこの言葉を
くつがえす見事な代替案を出せる
訳でもなく、そのまま戦争用語を
使い続けているのが実状だ。
確かに、「戦争」用語だと考えると
何となく心落ち着かない。
しかしながら、人類の歴史は戦争の
歴史でもあり、戦争自体がすぐに
なくなるわけでもない。
また、人生というものは、常に
自分自身との戦いだということも
真実である。
「戦争」用語を使うことで、
物事をより分かりやすく説明、理解
できるならば、何も忌み嫌う必要も
ないのかもしれない。
ということで、「キャンペーン」や
「ターゲット」といった戦争用語を
見る度に、何となく違和感を感じて
いたのだが、この機に開き直って、
変に嫌うのは止めよう。
あくまで分かりやすさ優先、
それがマーケティング的な態度だ
とも言えるだろう。
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