小売のバーゲニングパワーに負けない
一ヶ月ほど前、JR東北線の小金井駅へ
出張で訪れたときに、駅前にあった
のが、この「C57蒸気機関車の動輪」。
鉄道と共に発展した町の歴史を
象徴するモニュメントらしい。
実のところ、予定よりも一本早い電車に
運よく乗れたので、コンビニで何か
飲み物でも買おうかと、ロータリーに
降りて行った際に見つけたのだが、
肝心のコンビニが影も形もない。
通路を渡って、駅の反対側に回って
みても、やはり何もない。
あるのは、ラインナップが微妙な
自動販売機のみ。
JRの駅前であっても、コンビニがない
というのは、少なからず衝撃だった。
全国津々浦々、どこに行っても必ず
あるものと高を括っていたが、認識を
改めねばなるまい。
全国にあるコンビニの数は、おおよそ
6万店弱。
最大手のセブンイレブンが約2万1,000店。
ファミリーマートが約1万6,500店。
ローソンが約1万4,500店。
大手三社で52,000店強もあるのだ。
住んでいる神奈川県横浜市や、
仕事に通っている東京都23区内に
関しては、5分と歩かぬうちに次々と
コンビニの店舗を見つけられる。
駅前には、大抵少なくとも一つ、
下手すると三つのチェーンが共存
している場合も少なくない。
それが当たり前だと思ってはいけない。
そんなことは、少し考えれば分かる
ことなのだが、ついつい無意識のうちに
「近所にすぐあるのが当たり前」
「駅前にあるのは当たり前」
となっていたことに気が付かされた。
とはいえ、やはりコンビニの店舗数と
いうのは、圧倒的である。
これだけの店舗数を誇る小売は、
他に類を見ない。
数を競ってコンビニに勝てるのは、
美容室:約25万店
歯医者:7万店弱
位ではなかろうか。
番外編で、神社が約10万社あることは
付け加えておこう。
それだけ数が集まると、いわゆる
「バーゲニングパワー」
すなわち交渉力、対抗力が生まれる。
札束で頬をはたかれるイメージと
言えば伝わりやすいだろう。
コンビニに商品を供給している
メーカー、商社、卸売業者といった
プレイヤーは、このコンビニが持つ
バーゲニングパワーに、常に手を
焼く運命である。
仮に、1店舗当たり3個の商品が入る
だけだとしても、全店採用されたら
1チェーンだけで5~6万個もの初回
売上。
足の速い商品を扱っているのならば
「お代わり」受注がどんどん立つ
わけで、メーカー側からすれば垂涎
ものなのだ。
もちろん、この力を悪用、濫用する
ことがあれば、社会的な制裁を受ける
ことにもなりかねないので、各社とも
決して無理は言ってこない。
とはいえ、やはりコンビニに商品を
入れられれば、上記の通り、巨大な
売上が立つのは自明。
そうなると、もみ手をしながら近くに
すり寄って、ゴマをするという態度に
なりがちとなる。
たとえ実態はそうであったとしても、
バーゲニングパワーを完全に相手に
渡さないように意識することは、
依然として重要なことであろう。
相手から欲しがってもらえるものを、
きちんと切り札として用意する。
扱ってもらえたらこちらも助かるが、
扱わなかったら御社は損しますよ、
そうハッキリと言い切れる商品を
扱うことで、力関係を対等に保つ。
そういった交渉力を持たずに商談に
臨めば、結果は推して知るべし。
常日頃から、どうすればパワーで
押し切られずに済むか考え、準備を
怠らないようにすべきだろう。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。