SNSを利用するか、しないか
今どき、Instagramをはじめとする
SNSでビジュアルの共有を喜ばない
お店は、珍しい部類に入るだろう。
お客様が、勝手に口コミしてくれる
のである、感謝して当然というのが
大方の見解だと思われる。
しかしながら、未だに
「写真撮影お断り」
というお店も存在するのは事実。
理由は色々あるのだろうが、何だか
勿体ないな、個人的にはそう思う。
月曜に長野県小布施町に訪れた。
栗が特産の町だが、栗の羊羹では
お昼ご飯には物足りない。
どこでお昼を食べようかと調べたら、
これは是非行かねば!と思う店を
発見してしまった。
長野県=信州といえば、やはり
「りんご」と「そば」。
その「そば」の名店があると知り、
是非訪ねてみたいとターゲットを定めた
次第である。
この『せきざわ』さんは、食べログの
「そば百名店」に選ばれており、星の
平均も3.8を超えるという、超人気店。
この『せきざわ』さん、どんなおそばを食べる
ことができるのか、写真でご紹介したいところ
なのだが、残念ながらそれが叶わない。
ウェブサイトにもある通り、店内撮影禁止と
なっているのだ。
サイトには、
※蕎麦を美味しくお召し上がり頂く為、店内での撮影は御遠慮いただいております。
という説明が書かれてある。
そばを食べることに集中せよ!
リア充をアピールしたいからって写真撮影
ばかりしてるんじゃない!
こちとら本気でそばを作って出しているの
だから、本気で食べろ!
そんな声が聞こえてきそうである。
長野県は、そばどころ。
名店も数多い。
それにしても、小布施町という非常に小さな
町で、百名店に選ばれるクオリティを実現し、
維持しているその実力は恐るべし!である。
「茜三昧」というメニューをいただいた。
・生粉(きこ)打ち
・変りそば(黒胡麻)
・鴨南蛮
この3種類のそばを、少しづついただける。
生粉打ちは、そば粉100%のおそば。
そば粉の%が高ければ高い程、短くブツブツと
切れてしまいがち。
そのそばが細ければ細い程、余計に切れやすい
訳だが、見事な細切りのそばにもかかわらず
長さを保っている。
香りも、味も、申し分ない。
変わりそば、この日は黒胡麻であった。
20種類ほどある中から、日替わりで色々
楽しめるらしい。
こちらも、ほとんどつなぎは使っていない
様子。
生粉打ちと同様、見事な出来栄え。
そして、最後は鴨南蛮。
鴨肉は臭みがなく、鴨にしては柔らかい
歯ごたえで、滋味深い。
最後に温かいそばで締めて、「三昧」
すなわち
雑念を離れて心を一つの対象に集中し、散乱しない状態
をじっくりと味わうこととなった。
こんなにおいしいのだから、その感動を
共有したい!
そう思うお客様が多くいるのは疑いない。
FacebookやInstagramで、いくらでも
共有してくれる人がいるだろう。
それでもあえて、写真撮影禁止としている
その理由を、
「蕎麦を美味しくお召し上がり頂く為」
としているが、本音がどこにあるのかは
正直なところ分からない。
過去に、SNSで悪口を書かれて、トラウマ
のようになっているのかもしれない。
あるいは、見映えの良い写真を撮ること
ばかりにご執心な客を見て、ウンザリして
しまったのかもしれない。
たとえ、そのようなネガティブな経験が
あったのだとしても、田舎町で、ただで
さえ集客には苦労するはずの立地にも
かかわらず、あえて自ら大変な道を歩む
には、余程の信念と覚悟とが必要である。
写真撮影を禁止しても、分かってくれる
人は分かってくれる、このそばを愛して
くれる人は必ず通い続けてくれる。
そんな店主の声を、想いを、感じる。
写真撮影禁止が正解なのか否かは、
正直言って分からない。
しかし、いずれにしても、店主が納得の
上で選んだ「禁止」である。
それで客足が途絶えればそれまでだし、
逆にむしろ話題になってくれれば、
それはそれで店主の「思うつぼ」とも
言えよう。
マーケティングは、いかにお客様を
大切にして、そのニーズを叶えるかが
重要だ、そんなことを私も常日頃から
言っている立場である。
しかしながら、提供する側が心底納得
した上でサービス展開できなければ、
継続的に安定したクオリティでお客様に
奉仕することができない。
お客様に媚びず、むしろお客様の側から、
「欲しい!」「選ばせて!」という
一言を言わせしめる程度まで、自らが
提供する商品のクオリティを磨き上げる。
そんな信念を持って営業をしているので
あろうことが、ヒシヒシと伝わってくる
お店であった。
ご馳走様でした。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。