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ルールNo.1とルールNo.2

もう20年以上も前のこと。
マーケティングにキャリアチェンジして、
最初の上司に教わった話である。

外資系企業を転々としてきた彼が、
「外資系のルール」なるものを
伝授してくれた。
呼び名は記憶違いかもしれないが、
日本企業と比べて、外資系では上司の
命令が絶対だぞ!というニュアンスを
コミカルに伝えるルール
である。

それは、たった2つのルールから成る。

ルールNo.1
「君の上司は常に正しい。」

ルールNo.2
「もし君の上司が間違っていると思ったら、ルールNo.1に戻りなさい。」

お分かりの通り、結局のところ
「上司が正しい」
という結論に至る無限ループ
である。

このルール、「上司」の代わりの言葉を
当てはめることで、かなり応用が利きそうだ。

「オーナーは常に正しい。」
「オーナーが間違っていると思ったら、ルールNo.1に戻りなさい。」

「オーナー」「株主」と言い換えても
良いだろう。
「上司」バージョンよりもよほど妥当性が
高そうな気がする。
会社の状況いかんで、
「社長」とか「会長」を当てはめても
良いかもしれない。

マーケティング文脈からは、
こんな差し替えがパッと思いつく。

「お客様は常に正しい。」
「お客様が間違っていると思ったら、ルールNo.1に戻りなさい。」

さて、これは妥当だろうか?
なかなかに難しい問題を孕んでいるのは
間違いない。

ビジネス論として、これは確かに妥当な
ルールである。
お客様が商品を購入してくれて、
初めてビジネスが成立する。
購入してくれないのは、お客様が悪いのだ、
と言ったところで、何も解決しない。
その意味で、お客様の意思決定が全てだ。

とはいえ、世の中にはクレーマーのような
「筋の悪い客」
というのもいる。
そういう人たちも「正しい」と言い切って
良いのか?
そう問われると、「100%正しい」などと
自信を持って言えない気がしてくる。

この場合、考え方としては二つありそうだ。

一つは、「お客様はやはり正しい」という
結論を維持する
こと。
クレーマーに付け入るスキを与えた点は、
あくまで自分たちの準備が足りなかった
だけだと解釈をする。

そもそも、「クレーマー」という呼び名を
改め、どんなに些細なことでも気付いて
改善に向けた指導をしてくれる有り難い
存在
だと意識を変えれば、正しいどころか
神様のように思えてくる。

もう一つは、ルールNo.1の「お客様」の
定義を、少し柔軟に解釈する
こと。
要は、無理難題を吹っかけてくるような
クレーマーの類は、それを言ってきた
段階で、もはや自分たちが尽くすべき
「お客様」の範疇外になる、
という考え方を採用するのである。

いずれにしても、普段から自分たちの
「お客様」とは誰なのか、
あるいは誰が「お客様」でないのか、
どんな意識で接するべきなのか、
そういったことを、社内で気軽に話し
合える環境を作ることが大切
であろう。

ちなみに、このルールを教えてくれた
元上司は、
「オレの言うことが正しい!」
などとルールを振りかざすことは
一度たりともない、正真正銘の紳士で
あったことを付け加えておこう。

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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。