カスタマーサクセスを徹底して追求する
昨日は、JADMA主催で行われた
「Next-generation Commerce Award
2020」というウェビナーの紹介を
した。
Awardを受賞したのが二社あったの
だが、昨日紹介の「サブスクライフ」
は特別賞。
そしてもう一社が、大賞を受賞した
「ファブリックトウキョウ」である。
D2Cのファッションブランド、
いや、スーツブランドと言った
方が良いかもしれない。
とにかく、Direct 2 Consumer、
略してD2Cという呼称が最近よく
使われるようになった、お客様に
直接通販でお届けするビジネス
モデルを採用した、オーダーの
スーツを主な戦場にしている
ブランドである。
D2Cのビジネスモデルと一緒の
文脈で語られることが多いのが、
サブスクリプション。
昨日ご紹介した家具のサブスク、
「サブスクライフ」も、B2Bを
手掛けつつも、D2Cを主な販路に
していると説明されていた。
そして、サブスクリプションと
言えば、それとセットで語られる
ことが多いコンセプト、それが
「カスタマーサクセス」である。
直訳すれば、「顧客の成功」。
ただその言葉を耳で聞いた当初は、
正直言って何を言わんとしている
のかが全くピンと来なかったが、
本を読んでようやく理解した。
誤解を恐れずに言えば、
「マーケティングの基礎、基本を
徹底しなさい!」
ということに尽きる。
「マーケティング」という言葉を
どのように理解するか。
人によってその理解が本当にまち
まちで、とても多義的な言葉だな
といつも思わされるのであるが、
ドラッカーが鋭く喝破したように
「すべては顧客から始まる」
のである。
お客様に対する深い理解の下、
いかにお客様に貢献するか、
それこそが「マーケティング」の
本質だと思っている。
お客様への貢献が、お客様の問題を
解決することにつながる、それこそ
カスタマー=お客様が
サクセス=成功を収めた
ことに他ならない。
勿論、そんな簡単な説明で終わらず、
サクセスというのは具体的にどんな
ことなのかというのを、豊富な事例
をひも解きながら説明してくれて
いる。
そして、なぜカスタマーサクセスと
サブスクリプションが密接に関係
しているかといえば、先行投資して
お客様の満足を追求することで、
サブスク開始当初は赤字であっても
継続課金が進んでいつしか黒字へと
変わっていくのであり、その赤字で
ある初期段階でいかにお客様の心を
掴むような「サクセス」を提供する
ことができるか、ここが肝になって
いるからだ。
そんなセオリーを、本に書いてある
通りに愚直に実践してみました!
と言わんばかりの会社が、この
ファブリックトウキョウであると
一昨日のトークセッションにおける
社長の発言から感じ取った次第。
新規顧客の獲得に対する投資を半分に
減らしつつ、カスタマーサポート部隊
の人員を一気に3倍にするなどして、
リピーターへの投資を増やした結果、
それが熱烈なリピーターを生むことに
つながって、新規も2倍に増えるという
好循環を生んだという話には、強烈な
インパクトを感じた。
サブスク前提で始めた訳ではないよう
だが、このカスタマーサクセスを徹底
させる姿勢を貫いてきた必然なのか、
月額398円で購入の「後」をサポート
するサブスクサービスを始めたとの
ことである。
在宅勤務の人が増えて、スーツの需要
は相当厳しい時代を迎えているにも
関わらず、他の誰よりもお客様と密接
な関係を築くことで、時代の波を上手
に捉えたファブリックトウキョウも、
昨日のサブスクライフ同様、しばらく
目が離せない存在だ。