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「ライバルは出版にあらず」

昨年末、出版の宝島社を創業した
蓮見清一氏が逝去されました。

日経MJ12月25日号に、
冒頭のタイトルの見出しの下で
追悼記事が掲載されていたので、
読んでみたわけですが、
改めてすごい人だったことを確認
したので、少しばかり取り上げて
みたいと思います。

宝島と言えば、
雑誌にやたらとおまけをつける
ことで販売部数を伸ばした

「付録戦略」が一世を風靡した
ことを思い出します。

この「付録戦略」は、
正に蓮見さんのリーダーシップが
光った成功例に挙げられます。

雑誌に、財布やバッグといった
ファッションアイテムを付ける

いう発想は、「雑誌」屋さんという
意識ではまず出てこないでしょう。

読者をどこまで楽しませることが
できるか、「コンテンツ」屋さん
として自らの事業を再定義しない
限り、「付録戦略」は構想でき
なかっただろうと思います。

当時、人気の雑誌は50万部を優に超え、
月によっては100万部を超える雑誌も
あったと記憶していますが、
今は風前の灯といった風情。
つまり、雑誌そのものが廃刊の
危機にあるものも多く、
インターネットの影響恐るべし
としか言いようのない状況です。

今のようにネットの影響力が少ない
頃は、ファッションにスポーツ、
音楽から恋愛事情まで、みんな
雑誌を読んで情報を得ていました。

その雑誌の世界で、他に抜きんでて
部数を増やすために、あれこれ
試行錯誤を繰り返し、「付録戦略」
へとたどり着いた宝島社は、
老舗の小学館や集英社を相手に
互角以上の戦いをしていた
のは
間違いありません。

その陣頭指揮を執っていたのが
蓮見さんだったのですね。

僕はアウトサイダーに徹しているんだよ

出版という枠にとらわれずに、
融通無碍に様々な施策を打ち出し、
業界の常識を覆してヒットにつなげる
その手腕は、「アウトサイダー」に
徹し続けるという意識
によるところが
大きかったのです。

2012年日経新聞夕刊で連載されて
いた「人間発見」では、以下のような
発言があったとのこと。

従来の雑誌や書籍の形にとらわれない、しかも書店で流通可能なモノを開発していきたい
編集にはいろいろなモノを結合して新しいモノを生み出す醍醐味があります。情報とモノ、情報と情報、あるいはモノとモノを組み合わせる。そのような多様なモノを創り出し、それが結果として書店の活性化につながるということを目指したい…あくまでも出版を核としているが、従来の出版社の枠を乗り越えて、企業としてどんどん活動する時期が来ている

常に、業界内部ではなく、むしろ業界の
外を見て、新たなイノベーションを生む
ことをトコトン志向している
様子が、
ありありと伝わってくるようです。

骨の髄までマーケター魂が染み込んでいる
そんな印象を受けた記事でした。


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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。