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ターゲットは絞りすぎるな!?

オーソドックスなマーケティングの
理論では、まずはターゲット*となる
消費者を絞り込みましょう
、という
アプローチをします。

*買っていただくお客様に対して、
射的の「的」を意味する「ターゲット」
という言葉を使うのはいささか失礼で
あることは承知の上で、既に一般的な
用語になっているという理解の下で
そのまま使わせてもらいます。


仮に、コカ・コーラを売りたい人が、
コカ・コーラを大好きな消費者の
特徴を色々と調べて、その特徴を
持つ消費者をターゲットとして絞り
込む
場面を想定しましょう。

競合としてすぐに思い付くのは
ペプシコーラなので、
コカ・コーラ好きな人の特徴を、
ペプシとの対比でリストアップ
してみました。
カッコ内は、あくまで仮説ですが
ペプシ好きな人の傾向です。

・ブランドの伝統や歴史に魅力を感じやすい
(新しいトレンドや変化を好む傾向が強い)
・年齢層がやや高め
(若年層から強い支持)
・バランスのとれた味わいを好む
(刺激的な味を好む)
・クラシックでシンプルなデザインを好む
(斬新でカラフルなデザインに惹かれる)
・長期にわたり同じブランドを選ぶ傾向
(ブランドを気軽に変える)
・伝統的で感情に訴える広告に共感する
(若々しく、ポップな広告に共感する)
・安定志向、保守的なライフスタイル
(自由で冒険的なライフスタイル)
・ブランドの信頼感や歴史に価値を置く
(新製品やキャンペーンに興味を引かれる)
・価格にそれほど敏感ではない
(セールや割引に反応しやすい)

ここで描かれたような消費者を
ターゲットと定めて、様々な
マーケティング活動をすることが
正解だというのが従来の考え方
だったわけですが、最近何度も
取り上げているバイロン・シャープ
『ブランディングの科学』
では、
そのアプローチは間違っているのだ
と説いているように思えます。

コカ・コーラを飲む人は、実は
ペプシも相当な回数飲む可能性が
極めて高く、その逆もまた真なり

だということを、データが示して
いるのですね。

消費者調査を行って、
仮に上に挙げたようにコカ・コーラ
好きな人とペプシ好きな人の傾向が
パキッと分かれていたとしても、
それに基づいてコカ・コーラ好きな
人にだけアプローチすると、大切な
潜在顧客を沢山取り逃す
ことになる
というのです。

なので、あくまでもコーラ飲料を
飲む人に対して、広くあまねく
アプローチすることが大切
だと
考えるのです。

ターゲットは絞れ!
というのが頭にこびりついている
私のようなマーケターは多いはず
なので、ついコカ・コーラ好きな
消費者に絞り込んでしまおうと
してしまいがちかもしれません。

しかし、コーラ飲料のように日常で
頻度高く消費されるようなもの
は、
ほとんどの消費者がコカ・コーラ
だけ、あるいはペプシだけ、と
いうような消費行動はせずに、
大体レパートリーをいくつか
持っていて、ローテーション消費
している
わけです。

ですから、絞り込みが不要なワケ
ではないものの、絞り過ぎると
沢山の顧客を逃す
、そんな恐れが
あるので気を付けましょうね、
という理屈なのですね。

ここで最初の議論に戻りましょう。
ターゲット「消費者」を絞り込む
あえて書きましたが、実はここでは
ターゲット「市場」を絞り込むのが
正解
なのです。

お客様を「コカ・コーラ好き消費者」に
絞り込むのではなく、
戦う舞台を「コーラ飲料市場」に
絞り込むということ
なのです。

広くコーラ飲料を愛飲する人たちに
対してマーケティング活動をする
ことで、取りこぼしをなくせる
いうわけですね。

ここまで考えて来ると、
バイロン・シャープの指摘は、
従来のマーケティング理論に難癖を
つけているような気がしますが、
実際のところはどうなのか、
別途調べておきたいと思います。

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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。