「正直マーケティング」の時代
先日『売上の地図』を読み始めたと
いうことで、こちらで取り上げた。
同時並行で色々読み漁っていて、
まだ半分ほどしか読めていないの
だが、これは買って正解だった。
「辞書」「バイブル」的に、
何度も繰り返し参照することが
できそうだからである。
今日もその中からの話。
「第7の地図」で、オウンドメディアを
取り上げている。
いわゆる「企業公式サイト」のように、
企業が自ら情報を整理、編集、発信する
メディアである。
SNSなどのクチコミの影響力が破壊的に
高まり、その余波がオウンドメディア
にも及んでいる。
ソーシャルメディアに情報を取りに行く
消費者が増え、オウンドメディアへの
流入が減っているのだ。
著者の池田さんは、解決策として、
オウンドメディアをソーシャル化する
ことを提唱する。
オウンドメディアに求められる役割、
それは「正確なファクト(事実)」を
素早く参照できること。
公式なので、スペックだとか、機能的
ベネフィットなどの情報に対する
信頼性が高く、消費者はそういった
情報を求めてオウンドメディアへと
リーチする。
しかし、それを使ったらどうなるか、
といったユーザー目線のクチコミなどは
わざわざ別サイトで参照することは
容易に想像がつくところ。
消費者は、より信頼度の高い情報が
どこにあるかを分かって、都度、
最適な情報源へとアクセスする。
その意味で、オウンドメディアに
クチコミ情報のようなソーシャルな
コンテンツを取り込んでも、
意味がないのではないかとも思える。
取り込んでいるところもあるが、
大抵は「良い」クチコミだけを
ピックアップして載せており、
消費者にとって本当に参考になるかは
正直なところ疑問である。
そもそも、消費者はそういった
「あざとさ」には極めて敏感なのだ。
そこで注目すべきが、本に出て来る
ソニー損保の事例である。
彼らは、クチコミを取り込んで
自社サイトをソーシャル化している
のだが、悪口とか低評価レビューでも
そのまま掲載しているのである。
https://from.sonysonpo.co.jp/auto/review/
これは、なかなかできることではない。
今では、競合他社も同じようなことを
しているようだが、彼らの凄いところは、
「ファーストペンギン」よろしく、
勇気を持ってこれを真っ先に始めた点。
お客様の信頼度を着々と高め、
他社が気付いたときには消費者からの
信頼と評判がかなり定着していたで
あろうことが想像できる。
「正直者が馬鹿を見る」というのは、
情報の非対称性が激しかった頃には
辛うじて成立したかもしれない。
しかし、今は良い情報も悪い情報も
あっという間に伝わる時代。
これからは「正直マーケティング」
こそが消費者の支持をより一層
集めていくに違いない。