Create "a" Customer
主催している6回シリーズの
マーケティングセミナーの、
今日は2回目。
STPがテーマであった。
マーケティング戦略の要となる
Segmentation:市場の切り分け
Targeting:ターゲットの絞り込み
Positioning:立ち位置の差別化
を取り扱ったのだが、その中で
「ペルソナ」の話をした。
「ペルソナ」とは、
直訳すれば「仮面」。
マーケティングの文脈で使われる
場合は、「仮想の顧客像」という
ようなニュアンスである。
ターゲット顧客をより具体的に
想像し、商品が顧客のハートに
グサッと突き刺さるものにする
ために、顧客像もより具体的に
描いていくのだ。
今どきの言葉を援用するなら、
顧客の「解像度を上げる」という
言い方が割としっくりくるかも
しれない。
そうすることで、商品開発をする
メンバー同士の意識の統一ができ
たり、曖昧模糊としたベネフィット
ではなくエッジの利いた、刺さり
やすい商品にしやすかったり、
そんなメリットが得られる。
特定の一人を思い浮かべるような
イメージの「ペルソナ」、
その「一人」という部分から、
ふとドラッカーの言葉を思い返した。
ドラッカーは、企業の目的の第一を
「顧客の創造」だと言っている。
この日本語訳の原語が、
「Create a customer」
なのだ。
「the customer」ではなく、
「customers」でもなく、
「a customer」なのである。
つまり、「一人の顧客」なのだ。
これには深い意味があるはずだ、
そんな話をかつて聞いた記憶が
あり、最近もNext Society Forum
というドラッカー学会のイベント
で耳にした。
一人ひとりの顧客を大切にする。
丁寧に顧客と向き合い、その求むる
ものを満たしていく。
その集積こそが市場を創っていき、
企業を創っていく。
そんな、ドラッカーの姿勢を表す
言葉が「create a customer」なのだ
と理解できる。
「ペルソナ」を描くことは正に、
「a customer」を具体的に表現する
試みに他ならない。
一人の顧客を、手触り感のある形で、
解像度高く再現する。
その顧客が、激賞してくれるような
イメージを持てるまで、商品を磨き
上げていく。
そこまでやれたら、間違いなくその
「ペルソナ」に相当する顧客を喜ば
せることができ、そこから口コミの
輪が広がって市場が創造されていく
ことがイメージできる。
ドラッカーは、ペルソナ・マーケ
ティングの元祖だったと言っても
よさそうだ。
学べば学ぶほど、ドラッカーの
「知の巨人」ぶりに圧倒される。
すごい!としか形容しようがない。