「異次元の少子化対策」は、中身が名前負けではないか
岸田首相の口から出た
「異次元の少子化対策」
なる言葉が、色々物議を醸している。
現在議論されている内容は、
従来の少子化対策における具体策を
拡充するものが多く、とても
「異次元」と呼べるようなものでは
ないというのが主な論調だろう。
昨日も、育休夫婦の収入保障を
検討しているとのニュースが
流れて来た。
一瞬、おっ!と期待したのだが、
すぐにその期待は泡のように
しぼんで消えることに。
「1カ月軸に政府検討」
とある通り、実質全額を保障!と
息まいたところで、たかだか1カ月
では何の効果も出ないだろう。
タイトルと中身(コンテンツ)。
ヘッドラインと本文。
キャッチコピーとボディコピー。
前者と後者は、必ず一貫性が
なくてはならない。
調和がとれてなくては意味がない。
「異次元の少子化対策」なる
タイトルは、当然ながら、
尋常ではない=「異次元」の、
常人では考えられないような
具体策が中身としてなくては
ならない。
しかし、今のところは、完全に
「名前負け」だ。
メチャクチャすごいことをやって
くれるんだろうな、そんな期待を
持たせつつ、実際にそれに続く
内容説明がそうなっていないの
だから。
マーケティングやブランディングも、
タイトルとコンテンツの一貫性が
非常に重要であり、常に問われる
ところである。
どんなにタイトルであおったところ
で、中身が伴わなければガッカリ
されてしまい、リピートが続かない
ことになる。
逆に、タイトルがしょぼいと、
そもそも手に取ってもらえずに、
「こんなに中身は良いのに」と
惜しまれながらも静かに消え行く、
それが現実だろう。
このことを、日本における
マーケティング黎明期に大活躍
された故・梅澤伸嘉氏は
「C/Pバランス理論」
という形で実践的にまとめている。
Cとは、Concept/コンセプト。
これは、商品を買う前に欲しいと
思わせる力のこと。
本記事で「タイトル」として触れた
部分だ。
Pとは、Performance/パフォーマンス。
商品を買った後に、買って良かったと
思わせる力だ。
本記事で「コンテンツ」として
説明した部分になる。
この両方ともに高い状態を目指す
ことで、売れる商品は作られると
いうこと。
勿論、これは主に「商品」の開発に
かかわる話である。
しかし、今回話題に挙げた、
「異次元の少子化対策」という政策は、
政治家にとっては「商品」といって
よいものだろう。
本質的で大切な部分は、
政策と商品とでそう変わらない。
今回の政策においては、
とにかく「P/パフォーマンス」の
部分を、本気で充実したものにして
いただきたい。
そこに尽きる。
故・梅澤氏の著書は、数が多い割には
古くて入手困難なものも多い。
ご子息の梅澤大輔氏のものと、
その次にあるものが最新刊となるので、
ご参考まで。