ロイヤルユーザーを重視しすぎない
これまでの一般的なマーケティング
理論では、いかにロイヤルユーザーを
取り込むかが重要だ、という論調が
優勢でした。
しかし、バイロン・シャープが
『ブランディングの科学』において
これまでの常識を覆すような
「Evidence-based Marketing」
(証拠に基づいたマーケティング)
の議論を展開した結果、ロイヤル
ユーザー偏重に陥らないようにする
ことが大切だというように、認識が
変わってきています。
皆さんも、恐らく「80:20の法則」の話を
聞いたことがあるのではないでしょうか。
「売上の80%は20%の顧客から生まれる」
と言われる、別名「パレートの法則」とも
呼ばれるあの話です。
だから、20%の「ロイヤルユーザー」を
大切にするべきだ、という話につながる
わけですが、この数字がもしウソだと
したらどう思いますか?
実際に調べたところ、20%の上位顧客
から生まれる売上は、せいぜい多くて
60%、ほとんどの場合はもっと低い
割合であるということをバイロンさん
たちが突き止めたのです。
だから、ロイヤルユーザーをないがしろ
にしてもよい、ということでは決して
ありません。
要はバランスの問題なのですね。
ロイヤルユーザーばかりをかまって
いても、彼らだって永遠に自分たちの
顧客でい続けてくれるとは限らない
ので、常に新規ユーザーも獲得し続け
ない限りはジリ貧になるのです。
つまり、ロイヤルユーザー以外の
売上がおおよそ半数を占める状況下、
新規ユーザーやライトユーザーに
対しても着実にアプローチをする
ことがキモとなるのです。
さもなければ、将来の苦境が約束
されるようなものなのですね。
このことは、使用頻度、購入頻度が
高いものの場合に特に当てはまると
言えます。
家や車、家電製品などの耐久消費財に
関しては、お客様の方も極めて慎重に
モノ選びをしますし、そもそも購入
する個数も少ないので、ユーザーを
ロイヤルかライトか?と分けること
自体ややナンセンスかもしれません。
これに対して、米やパンなどの主食、
水やお茶などの飲料といったものは、
使用頻度も購入頻度も極めて高く、
そうなると「ロイヤルユーザー」で
あっても頻繁に「浮気」をする
ことが増えるのです。
ですから、たとえ「ライトユーザー」
であっても、積極果敢に彼らに買って
もらえるようアプローチし続ける
ことが大切なのですね。
パッと聞いたときに、自分の感覚や
いわゆる「常識」に反するように
感じることであっても、むやみに
排除せず、まずはよく咀嚼して、
理解に努めるべきでしょう。
それができて、ようやく「科学」に
一歩近づけます。
今日の話に近いことを、5か月ほど
前にもこちらの記事でも書きました。
今後、更に学びを深めていきたい
ところです。