ジビエを食す
昨日は、元同僚と中目黒で飲んでいた。
今流行りのジビエを、「罠」という
名前のお店でいただいてきた。
鹿の食害が激しかったり、熊が山から
下りてきて田畑を荒らしたり、
といったことが相次ぎ、
「駆除」せざるを得ない状況の下、
いっそその肉を名物にしてしまったら
どうか、ということでジビエを売りに
する地方都市がポツポツ出て来る
ようになったのは、まだ数年前に
過ぎないと記憶している。
「実は意外と美味い」
「高たんぱくで健康にも良い」
といったメリットも相まって、
じわじわと広がりを見せてきたわけ
だが、新鮮さが命ということもあって、
東京でもジビエを出すお店はまだまだ
少ない。
そんな中でも、「罠」さんは
チェーン展開をしているジビエ
レストラン、しかもお値段が結構
リーズナブル、ということで、
どんなお肉が食べられるのか
楽しみにしていた。
昨日食すことが出来たのは、
猪、鹿、雉(きじ)、鶉(うずら)、
そして稀少肉として穴熊にも
ありつけた。
調理方法も、
つくね、煮込み、炭焼き、網焼き
などなど、バラエティに富んで
飽きさせない。
味だけのことを言うならば、それは
牛や豚には正直かなわない。
確かに「滋味」を感じるし、お酒を
飲みながら食べるジビエは本当に
「おつ」であったことは間違いないが、
ではA5ランクのとろけるような
ロースに勝てるかと言われたら、
これは致し方のないところ。
しかし、野趣あふれるジビエを楽しむ
のは貴重な体験であり、
一緒に飲み食いする友人たちとの
会話も良く弾むこと請け合いである。
いわゆる「体験価値」、「経験価値」、
今風に言うと
「カスタマーエクスペリエンス(CX)」
的に是非お勧めしておきたいところ
である。
昔、父が狩猟を趣味にしていた時が
あり、自宅には雉のはく製が飾って
あったのを急に思い出した。
小さい頃から床の間に置かれていて、
それが当たり前の中で育ったために
何とも思っていなかったが、
よく考えると結構大変なことである。
狩猟には免許がいるし、実際に撃ちに
行くとなると一日、二日がかり。
当時、仕留めた雉の肉を食したのか
どうかは分からないが、仕留めた
ばかりの肉は、上手な捌き手さえ
いればきっと美味しく食べられた
はずだ。
ついでにもう一つ思い出したのが、
オーストラリアに行った際に食べた
稀少肉。
串に刺して焼かれて出て来たのが、
カンガルー、エミュー、ダチョウ、
といったいかにもオーストラリア!
というラインアップだったのを
今も覚えている。
お味の方は、普通の鶏肉に比べて
硬い!ということは強烈に覚えて
いる。
きっとブロイラーとは運動量も
段違い、筋肉バリバリの締まり
きった肉だったに違いない。
取り留めのない日記風になって
しまったが、話を「罠」に戻そう。
昨日は「穴熊」がかなり稀少だった
ようで、そうそう食べられない類
のようだ。
また次に来るときは別の稀少な肉に
お目にかかれるかもしれない、
というのは、お客様をリピーター化
するための一つの仕掛けなのだろう。
話のタネに、お近くの「罠」に
引っ掛かってみてはいかがだろうか。