見出し画像

「ケチャップを描いて!」と言われたら?

昨日ご紹介した「カンヌライオンズ」
というクリエイティブの祭典で、
アワードを受賞した中からもう一つ、
面白かったものを紹介させてください。

それが、タイトルにある
「ケチャップを描いて!」と言われた
人が何を描いたのか、という実験

取り込んだ施策でした。

ケチャップというと、
皆さんはどのメーカー、ブランド
思い浮かべますか?

ほとんどの日本人は
「カゴメ」と答えるのでは
ないでしょうか?

次点で出てくるのが「デルモンテ」
あたりですかね?

「ハインツ」を挙げる人もいるとは
思いますが、その人はきっと欧米で
暮らしたことがあるとか、
コストコでよく買物をするといった
ライフスタイルの人である可能性が
高い気がします。
あくまで個人の所感ですが。

実際、海外だとどの国でも
「ハインツ」を挙げる人が圧倒的に
多い様子です。
「カゴメ」は、日本ではガリバーでも
海外に行くと存在感が薄いのですね。

そんな「独占」的な地位を既に有して
いる「ハインツ」が、その地位をより
強固にする施策を見事に成功させ、
それが「Creative Effectiveness」
アワードを受賞しました。

直訳すると、「作品の効果性」
広告作品が意図した通りに高い効果を
あげたという、その効果性を評価する
アワード
だと言えましょう。

ではどんな作品だったのか、
見ていきましょう。

冒頭に述べた通り、ただシンプルに
「ケチャップを描いて!」と言われた
人が何を描いたのかを見る実験を
行ったところ、ほぼ全員が、同じような
ものを描いていたのです。

「ハインツを描いてください」などと、
ブランドや会社の名前に関しては一切
示唆しなかった
にもかかわらず、
誰もが共通して抱くイメージとして、
「ハインツのケチャップボトル」を
描いていた
のですね。

WE ASKED PEOPLE TO DRAW KETCHUP.
我々は人々にケチャップを描くよう頼んだ。
THEY DREW HEINZ.
彼らはハインツを描いた。

このようなコピーを作り、
実際に消費者が描いてくれた
ケチャップのボトルを組み合わせて、
ユニークな広告を作り上げました

そして、その広告を新聞やネット上で
流しただけでなく、そのデザインの
ボトル(ラベル)を実際に制作して
店頭に並べる
というアクションまで
やってのけたのですね。

(この広告キャンペーンを担当した広告代理店のサイトから借用)

このキャンペーンはSNS上で大きく
バズり
まくり、アイデアの独創性
賞賛するコメントもかなり多かった
様子が窺えます。

この2分ほどの施策を要約した
ビデオで、最後の方に出てくる
彼らの言葉がとても印象的でした。

WE DIDN'T SAY KETCHUP IS HEINZ.
我々は、ケチャップならハインツ、とは言っていない。
BUT THE WORLD DID.
しかし、世界はそう言ったのだ。

なんとも誇らしい勝利宣言にも
聞こえるこのコピー。

もうこれ以上伸びしろなどなさそうに
見えるやや古びた老舗ブランドでも、
アイデア次第でまだまだ伸ばせるぞ!
そんな「叱咤激励」に聞こえなくも
ありません。

こういう優れたクリエイティブの
アイデアに触れることは、
発想の引き出しを増やす上で
非常に有用
だと思われるので、
これからもマメにチェックしたいと
思った次第です。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。